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[SVC45-12] 積分モデルによる御嶽山2014年噴火での火砕流発生条件推定の試み
キーワード:御嶽山, 噴煙柱崩壊, 火砕流, 積分モデル
浮力フラックスが増加する乱流プルームに関する定常一次元の積分モデルを用いて、小規模な水蒸気爆発に伴う火砕流の発生条件を推定する方法を考案し、2014年9月に発生した御嶽山噴火に適用して検討した結果を発表する。2014年9月27日に御嶽山で発生した火山噴火では、発生直後に噴出した噴煙が崩壊して、火砕流となって山腹に沿って下方に流れ下ったことが、国土交通省が設置した監視カメラに記録されている。このような振る舞いは、主に噴煙から火山灰を降らせる噴火を起こした同火山の1979年噴火とは対照的であり、2つの噴火には、発生時の条件に何らかの違いがあったことが予想される。そこで、筆者らが火山噴煙の特徴的な振る舞いを適切に表現するために提案した浮力フラックスが増加する乱流プルームに関する定常一次元の積分モデルを利用して、噴煙柱が崩壊する物理条件について検討した。その結果、火口半径の1/3乗と火口直上での噴煙の密度に比例し、火口からの噴煙の噴出速度の2/3乗ならびに火口の高さにおける噴煙と大気の温度差の2/3乗に反比例する定数が大きくなるほど、安定に上昇するプルームが形成されにくくなり、火砕流が発生しやすくなることを導くことができた。この結果を御嶽山の噴火に適用すると、初期密度が大きかったことが火砕流の発生に大きく寄与したことが推測される。なぜなら、野外調査によって、1979年噴火と2014年の噴火では火口半径ならびに初期温度には大きな差異がないことが示されている半面、今回の噴火では1979年の噴火とは異なる火口から火口が形成された直後に最も大きな噴火が発生していることから、比較的、大量の周囲の岩体を破壊して巻き込んでいる可能性が指摘されているためである。