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★ [G02-04] 近年の土砂災害と軽減対策の概要
キーワード:高校地学, 防災教育
日本の国土面積の約70%は山地・丘陵地でしかも大規模な地質構造線,破砕帯が広範に分布するため概して脆弱な地質構造を形成している。このため,梅雨期の集中豪雨や台風による豪雨を誘因として,斜面崩壊や地すべり,土石流などの土砂移動現象が起こり易い環境にある。最近約15年間について土砂災害の発生状況をみると,災害が多発したのは2004年(平成16)と2011年(平成23)でこれによる犠牲者数はそれぞれ約60人,80人を超えた。2004年には平年値の約4倍である10個の台風上陸があり,10月下旬には新潟県中越地震があった。また,2011年には3月11日に発生した東北太平洋沖地震に伴う土砂災害で19名が犠牲となり,同年9月上旬には台風12号による記録的な豪雨で紀伊半島を中心に死者・行方不明者56名を伴う甚大な土砂災害が発生した。土砂災害による人的犠牲を軽減するには,平時から防災情報を住民に周知,伝達しておくことが求められる。これにはハザードマップ(土砂災害危険区域図)を準備し,土砂災害の危険場所を住民に周知,伝達しておくこと,また土砂災害の危険が及ぶと予想される場合には自主避難を行うことが欠かせない。ここでは,近年の発生した土砂災害の概要と土砂災害対策に用いられる砂防堰堤などのハード対策の役割と避難勧告,自主避難に活用される土砂災害警戒情報などについて紹介したい。