17:30 〜 17:45
[PCG31-09] その場年代測定のための飛行時間型質量分析装置の開発
キーワード:質量分析, K-Ar 年代測定, 惑星探査
月惑星探査におけるその場年代測定が可能となれば、太陽系進化史の解明に大きな役割を果たす。我々はLIBS(Laser Induced Breakdown Spectroscopy:レーザー誘起絶縁破壊分光装置)と、TOF-MS(Time-Of -Flight Mass Spectrometry :飛行時間型質量分析器)からなるその場K-Ar年代測定装置を開発している。K-Ar年代測定法は40Kの放射壊変を利用した年代測定法である。この手法ではLIBSによるK濃度測定とTOF-MSによるAr同位体測定からK-Ar年代を求める。本発表ではAr同位体計測用のTOF-MSの開発状況を報告する。
惑星着陸機搭載用のTOF-MSは重量、サイズ、電力の面で制約があり、その条件下でAr同位体測定が可能な質量分解能を達成するように設計する必要がある。まず、TOF-MSで高い質量分解能を得るためには計測するイオンのTOF-MSに於ける初期位置や初期エネルギーのばらつきを抑える必要がある。そこで我々はイオンを反射させる二段リフレクター方式のTOF-MSを採用し、飛行時間における初期位置のばらつきに関する一次と二次の微分がともにゼロとなる解析解から装置の寸法や印加する電圧等のパラメータを設定した。これらのパラメータを基にシミュレーションを行い、直径10[cm]、全長20[cm]程度のサイズ、数[kV]の印加電圧でAr同位体計測に必要な質量分解能が達成可能である事を確認した。
また、Ar同位体測定のためには少量の36Arを定量する必要もある。TOF-MSの前段にあるLIBS部分を経て、TOF-MSまで到達する36Arの量を推定したところ、十分な検出数を得るためには計測するイオンの検出器への到達率を数10%以上、計測の繰り返し周波数を数[kHz]以上とする必要があることが明らかとなった。そこでイオンを1次元のビーム状にTOF-MSへ導入することで効率を向上させ、同時にイオンの初期位置のばらつきを抑えるようにした。これにより、計算機シミュレーションでは、数10%以上の到達率が達成できている。また、TOF-MSの加速部をパルス電位と定常電位の2段階にしてパルス電源の負荷を小さくすることで、TOF-MS計測の繰り返し周波数を数[kHz]まで向上させることもできるようにした。
惑星着陸機搭載用のTOF-MSは重量、サイズ、電力の面で制約があり、その条件下でAr同位体測定が可能な質量分解能を達成するように設計する必要がある。まず、TOF-MSで高い質量分解能を得るためには計測するイオンのTOF-MSに於ける初期位置や初期エネルギーのばらつきを抑える必要がある。そこで我々はイオンを反射させる二段リフレクター方式のTOF-MSを採用し、飛行時間における初期位置のばらつきに関する一次と二次の微分がともにゼロとなる解析解から装置の寸法や印加する電圧等のパラメータを設定した。これらのパラメータを基にシミュレーションを行い、直径10[cm]、全長20[cm]程度のサイズ、数[kV]の印加電圧でAr同位体計測に必要な質量分解能が達成可能である事を確認した。
また、Ar同位体測定のためには少量の36Arを定量する必要もある。TOF-MSの前段にあるLIBS部分を経て、TOF-MSまで到達する36Arの量を推定したところ、十分な検出数を得るためには計測するイオンの検出器への到達率を数10%以上、計測の繰り返し周波数を数[kHz]以上とする必要があることが明らかとなった。そこでイオンを1次元のビーム状にTOF-MSへ導入することで効率を向上させ、同時にイオンの初期位置のばらつきを抑えるようにした。これにより、計算機シミュレーションでは、数10%以上の到達率が達成できている。また、TOF-MSの加速部をパルス電位と定常電位の2段階にしてパルス電源の負荷を小さくすることで、TOF-MS計測の繰り返し周波数を数[kHz]まで向上させることもできるようにした。