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[SEM34-05] 御嶽山2014年噴出物の岩石磁気学的特徴
キーワード:御嶽山, 水蒸気噴火, 黄鉄鉱, 岩石磁気
2014年9月27日に御嶽山が噴火し,多数の犠牲者を出す戦後最悪の火山災害となった。その後現在(2015年2月初頭)に至るまで,活動は低下しつつも噴気活動や地震活動が継続しており,入山規制が解除されるには至っていない(噴火警戒レベル3が継続中)。我々は9月27日の噴火プロセスと,その後現在まで継続している山麓への堆積物の移動プロセスを解明することを目的に,特に南麓の濁川に注目して研究を進めている。本発表では,今回の噴火で噴出した火山灰試料の磁性および磁性鉱物について報告する。
熱磁気分析の結果,今回の噴出物は特徴的な熱磁気曲線を描くことが分かった。磁化が弱く,400℃までにほぼ半減するが,400℃を超えてから急激に磁化が増加し,約470℃で初期値の約5倍に達する。その後600℃までの間に急減してほぼ最小値を取る。冷却曲線は(なお実験は空気中で行っている),加熱曲線とは全く異なって約580℃のキュリー点を示し,magnetiteへの変質を示唆するが,実験終了後の磁化は実験前の2倍以下とあまり増加していない。鏡下で観察すると試料中にはpyriteが多く見られ,400℃で変質した鉱物はpyriteと考えられる。すでに報告されているように,今回の御嶽山の火山灰には多くのpyriteが確認されており(例えば池端ほか,2014,火山学会;井村ほか,2014,火山学会),200℃以上の酸性熱水による変質で形成されたことが示唆されている(宮城ほか,2014,火山学会)。また磁化が急増している温度範囲内の約420℃で加熱を停止して冷却した結果,磁化は10倍以上に増加した。約400℃でpyriteがmagnetiteへ変化したと考えられるが,このことから,今回の噴出物は約400℃以上には加熱されていないことが示唆される。先行研究の結果と合わせれば,今回の噴出物は200℃以上かつ400℃以下の温度条件下に存在していたものと考えられる。
また,濁川で観察された灰色の火山灰層の上下の堆積物も特徴的なシグナルを示した。噴火前の堆積物は,磁化強度が弱くなく,約550℃のキュリー点を示した。曲線はreversibleであり,主な磁性鉱物は御嶽火山噴出物中のtitanomagnetiteと考えられる。一方,今回の噴出物の直上から採取したサンプルはピークが弱いながらも400℃のシグナルを示し,微量ながら今回の噴火で堆積した火山灰が,下流へ運搬され再堆積していると考えられる。この特徴に注目すれば,今回の火山灰がどの程度の時間をかけてどの程度下流まで運搬されていくか追跡できると考える。
磁気ヒステリシス測定の結果,今回の噴出物はDay-plot上でそれほど分散せず,PSD領域の右下にプロットされた。これまでに我々は,統合国際深海掘削計画(IODP)の第340次航海で採取された火山砕屑性混濁流堆積物の研究から,流れによる分級と淘汰の効果の違いが岩石磁気学的に捉えられることを明らかにしてきた(例えば齋藤・片岡,2014,JPGU)。御嶽山麓に二次的に堆積した火山噴出物と海底に堆積した火山性砕屑性混濁流堆積物とは,運搬距離や堆積物のvolumeなどが大きく異なるが,どちらも流れによる効果で淘汰され,その結果,ある程度集中した磁気ヒステリシスパラメーターを示したと考えられる。
熱磁気分析の結果,今回の噴出物は特徴的な熱磁気曲線を描くことが分かった。磁化が弱く,400℃までにほぼ半減するが,400℃を超えてから急激に磁化が増加し,約470℃で初期値の約5倍に達する。その後600℃までの間に急減してほぼ最小値を取る。冷却曲線は(なお実験は空気中で行っている),加熱曲線とは全く異なって約580℃のキュリー点を示し,magnetiteへの変質を示唆するが,実験終了後の磁化は実験前の2倍以下とあまり増加していない。鏡下で観察すると試料中にはpyriteが多く見られ,400℃で変質した鉱物はpyriteと考えられる。すでに報告されているように,今回の御嶽山の火山灰には多くのpyriteが確認されており(例えば池端ほか,2014,火山学会;井村ほか,2014,火山学会),200℃以上の酸性熱水による変質で形成されたことが示唆されている(宮城ほか,2014,火山学会)。また磁化が急増している温度範囲内の約420℃で加熱を停止して冷却した結果,磁化は10倍以上に増加した。約400℃でpyriteがmagnetiteへ変化したと考えられるが,このことから,今回の噴出物は約400℃以上には加熱されていないことが示唆される。先行研究の結果と合わせれば,今回の噴出物は200℃以上かつ400℃以下の温度条件下に存在していたものと考えられる。
また,濁川で観察された灰色の火山灰層の上下の堆積物も特徴的なシグナルを示した。噴火前の堆積物は,磁化強度が弱くなく,約550℃のキュリー点を示した。曲線はreversibleであり,主な磁性鉱物は御嶽火山噴出物中のtitanomagnetiteと考えられる。一方,今回の噴出物の直上から採取したサンプルはピークが弱いながらも400℃のシグナルを示し,微量ながら今回の噴火で堆積した火山灰が,下流へ運搬され再堆積していると考えられる。この特徴に注目すれば,今回の火山灰がどの程度の時間をかけてどの程度下流まで運搬されていくか追跡できると考える。
磁気ヒステリシス測定の結果,今回の噴出物はDay-plot上でそれほど分散せず,PSD領域の右下にプロットされた。これまでに我々は,統合国際深海掘削計画(IODP)の第340次航海で採取された火山砕屑性混濁流堆積物の研究から,流れによる分級と淘汰の効果の違いが岩石磁気学的に捉えられることを明らかにしてきた(例えば齋藤・片岡,2014,JPGU)。御嶽山麓に二次的に堆積した火山噴出物と海底に堆積した火山性砕屑性混濁流堆積物とは,運搬距離や堆積物のvolumeなどが大きく異なるが,どちらも流れによる効果で淘汰され,その結果,ある程度集中した磁気ヒステリシスパラメーターを示したと考えられる。