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[PEM28-11] 広視野偏光分光観測によるオーロラ発光の偏光特性
キーワード:オーロラ, 偏光, 装置開発
近年のオーロラ偏光観測から、630nm発光が最大で17%偏光する可能性が示唆されている(Bommier et al., 2011)。しかし、その特性や他の波長のオーロラ偏光はよくわかっていない。本研究では、630nmオーロラに加えて、557.7nmオーロラの直線偏光を世界で初めて同時測定し、磁気子午線に沿った偏光の仰角分布を長期間にわたって捉えることを目的とし、広視野偏光分光器と、大気の散乱による偏光を定量的に校正可能な変光望遠鏡を新たに開発した。
この広視野偏光分光器は、魚眼レンズ、回転ステージに装着したワイヤーグリッド型直線偏光子、VPH透過型回折格子ならびにEMCCD検出器から構成され、450nmから710nmの波長範囲で波長分解能2.0nm、視野角130度を有する。オーロラ偏光を1%以下の高精度を測定するための鍵となるのは器械偏光の校正である。このために、既知の偏光状態を持つ光を視野130度内で3度毎に入射し、偏光子を回転させながら強度変化を測定する装置と解析方法を確立した。
観測は、2014年の11月から12月にかけてアラスカ・ポーカーフラットにおいて行われた。一晩を通じてオーロラの活動が活発だった2014年11月20日晩の解析結果から、630nmオーロラの直線偏光度は磁気子午線に沿った磁北側の低仰角(~10度)で8%と大きい値を取り、仰角が上がるにつれて仰角~80度で1%程度まで減少し、磁気天頂付近から磁南側の低仰角側で再度偏光度が上昇していくといった仰角依存性が確認された。その傾向は他の観測日でも確認された。一方で、理論的に偏光していないとされる557.7nmオーロラについても、オーロラ活動が活発な場合では平均的に10%以上の直線偏光を示す観測結果が得られた。
さらに、降り込み電子の平均エネルギーに対する直線偏光度の対応を捉えるために、磁気天頂付近における557.7nmと630nmの発光強度比と直線偏光度の関係性を調べた。その結果、630nmオーロラの直線偏光度は630nm発光強度の割合が大きくなるにつれて、つまり低エネルギーの降り込み電子の割合大きくなるにつれて、1%程度大きくなることが確認できた。この関係性にはばらつきが大きく、降下電子エネルギー以外の他の要因(ピッチ各分布等)を今後の研究では考慮する必要がある。
この広視野偏光分光器は、魚眼レンズ、回転ステージに装着したワイヤーグリッド型直線偏光子、VPH透過型回折格子ならびにEMCCD検出器から構成され、450nmから710nmの波長範囲で波長分解能2.0nm、視野角130度を有する。オーロラ偏光を1%以下の高精度を測定するための鍵となるのは器械偏光の校正である。このために、既知の偏光状態を持つ光を視野130度内で3度毎に入射し、偏光子を回転させながら強度変化を測定する装置と解析方法を確立した。
観測は、2014年の11月から12月にかけてアラスカ・ポーカーフラットにおいて行われた。一晩を通じてオーロラの活動が活発だった2014年11月20日晩の解析結果から、630nmオーロラの直線偏光度は磁気子午線に沿った磁北側の低仰角(~10度)で8%と大きい値を取り、仰角が上がるにつれて仰角~80度で1%程度まで減少し、磁気天頂付近から磁南側の低仰角側で再度偏光度が上昇していくといった仰角依存性が確認された。その傾向は他の観測日でも確認された。一方で、理論的に偏光していないとされる557.7nmオーロラについても、オーロラ活動が活発な場合では平均的に10%以上の直線偏光を示す観測結果が得られた。
さらに、降り込み電子の平均エネルギーに対する直線偏光度の対応を捉えるために、磁気天頂付近における557.7nmと630nmの発光強度比と直線偏光度の関係性を調べた。その結果、630nmオーロラの直線偏光度は630nm発光強度の割合が大きくなるにつれて、つまり低エネルギーの降り込み電子の割合大きくなるにつれて、1%程度大きくなることが確認できた。この関係性にはばらつきが大きく、降下電子エネルギー以外の他の要因(ピッチ各分布等)を今後の研究では考慮する必要がある。