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[SVC47-P11] 東北日本,鳥海山,1800-1804年噴出物の岩石学的特徴
キーワード:鳥海火山, 噴火史
鳥海山は山形県と秋田県の県境に位置する第四紀成層火山である.活動は大きく3ステージに分けられている.各々の活動期は,ステージⅠが60万年-16万年前,ステージⅡが16万年-2万年前,ステージⅢが2万年前-現在である.歴史時代の噴火活動は,少なくともマグマ噴火を2回,水蒸気噴火ないしマグマ水蒸気爆発を4回繰り返している(植木, 2001).871年のマグマ噴火は,869年に起きた貞観地震の2年後に噴火をしており,地震と火山の関係性が示唆されている(林,2001).2011年に東北地方太平洋沖地震が発生後,蔵王山や吾妻山のような火山性活動の高まりは観測されていないが,今後も噴火する可能性があるため注視しておく必要がある.歴史時代噴出物の分布と区分は現地踏査や岩石記載,古文書の解析を用いて検討されてきた(たとえば林,1984; 佐藤, 2014).しかし,歴史時代を通した岩石記載は行われているが,ユニットごとの詳細な記載は行われていない.よって本研究の目的は,東鳥海カルデラ内に分布する歴史時代噴出物の中でも最も新しいマグマ噴火である1800年-1804年噴出物に焦点を絞り,噴出物の分布と区分を検討し,マグマ供給系を詳しく検討することとする.
1800年-1804年の噴出物は下位から新山溶岩(SL),新山降下火砕堆積物(SPFD),新山溶岩ドーム(SLD)にわけられた.新山溶岩ドームから半径500mの範囲に火山弾 が多数見られるが,詳細な噴出時期は不明である.露頭観察で幾つかの火山弾は新山降下火砕堆積物の上位でも見られたため,この火山弾は新山降下火砕堆積物の一部とする.新山溶岩は新山溶岩ドームの南方と北方にローブ地形を確認できる.層厚は北で最大25m,南で50m,体積は約7.3×10-3km3である.ローブはブロック状溶岩で構成されているが,大部分は転石で覆われている.また溶岩は苦鉄質包有岩を含む.新山降下火砕堆積物は新山溶岩ドームの南から東にかけて分布する.層厚は露頭によって異なるが,新山溶岩ドームの麓の層厚から平均30cmと仮定した場合,体積は9.0×10-7km3である.この層は主に平均粒径が4cmで,一部は表面に光沢がある石質岩片からなり,平均粒径が5cmの軽石を含むことがある.石質岩片は亜角礫で淘汰は良いが,軽石は亜角礫-亜円礫で淘汰は悪い.マトリックスは粗粒火山灰-細礫である.今回新山降下火砕堆積物に含めた火山弾は,約50cm-数mのパン皮状火山弾と角礫状火山弾がある.パン皮状火山弾は主に安山岩質で苦鉄質包有物を含むが,稀に苦鉄質溶岩からのみなるものもある.角礫状火山弾は数十cm-1mの角礫と,角礫が細かく砕かれたような小さな岩片が弱溶結したマトリックスからなる.角礫の縁はガラス質になっているものがある.新山溶岩ドーム は現在の鳥海山の山頂部を形成している部分である.ドームの比高は50m,体積は9.0×10-4km3である(林, 1984).溶岩ドーム内部は柱状節理と板状節理がよく発達している.また,苦鉄質包有岩も見られる.
1800-1804年噴出物は一部の包有岩を除き,中間-高カリウムのカルクアルカリ系列に属する.斑晶組み合わせは斜長石,単斜輝石,斜方輝石,不透明鉱物±かんらん石,角閃石である.斜長石は清澄なものよりも,汚濁帯や蜂の巣状構造といった溶融組織を持つものが卓越する.斜方輝石とかんらん石は反応縁を伴うものが認められるが,角閃石には認められない.母岩の中でも新山溶岩は斑晶を多量に含む(48-50vol.%)が,その他の斑晶量は26-36vol.%である.苦鉄質包有岩の斑晶量は20-30 vol.%である.母岩の石基組織はハイアロオフィティック組織,包有岩の石基組織はディクチタキシティック組織である.ただし,ディクチタキシティック組織中のマイクロライトの大きさは試料によって異なる.
噴出物のSiO2量は,母岩で約60-62wt.%(SL, 60.7-60.8 wt.%; SPFD pumice 60.7-61.2 wt.%; SPFD lithic fragments, 60.8-61.1 wt.%; SPFD volcanic bomb, 60.5-61.5 wt.%; SPFD breccia bomb, 60.7-61.0 wt.%; SLD, 61.2-62.2 wt.% ) ,包有岩で約52-57 wt.%(SL 53.3 wt.%; SPFD lithic fragments, 54.2 wt.%; SPFD volcanic bomb, 56.5 wt.%; SPFD breccia bomb, 52.6-54.8 wt.%; SLD 54.0-55.8wt.%)である.母岩と包有岩は角礫状火山弾の包有岩を除き直線的なトレンドをなす.それぞれのSiO2量は新山溶岩ドームの母岩も包有岩もSiO2量はほかの噴出物に比べてやや高い.新山降下火砕堆積物中の軽石と石質岩片のSiO2量はほぼ同じである.
1800年-1804年の噴出物は下位から新山溶岩(SL),新山降下火砕堆積物(SPFD),新山溶岩ドーム(SLD)にわけられた.新山溶岩ドームから半径500mの範囲に火山弾 が多数見られるが,詳細な噴出時期は不明である.露頭観察で幾つかの火山弾は新山降下火砕堆積物の上位でも見られたため,この火山弾は新山降下火砕堆積物の一部とする.新山溶岩は新山溶岩ドームの南方と北方にローブ地形を確認できる.層厚は北で最大25m,南で50m,体積は約7.3×10-3km3である.ローブはブロック状溶岩で構成されているが,大部分は転石で覆われている.また溶岩は苦鉄質包有岩を含む.新山降下火砕堆積物は新山溶岩ドームの南から東にかけて分布する.層厚は露頭によって異なるが,新山溶岩ドームの麓の層厚から平均30cmと仮定した場合,体積は9.0×10-7km3である.この層は主に平均粒径が4cmで,一部は表面に光沢がある石質岩片からなり,平均粒径が5cmの軽石を含むことがある.石質岩片は亜角礫で淘汰は良いが,軽石は亜角礫-亜円礫で淘汰は悪い.マトリックスは粗粒火山灰-細礫である.今回新山降下火砕堆積物に含めた火山弾は,約50cm-数mのパン皮状火山弾と角礫状火山弾がある.パン皮状火山弾は主に安山岩質で苦鉄質包有物を含むが,稀に苦鉄質溶岩からのみなるものもある.角礫状火山弾は数十cm-1mの角礫と,角礫が細かく砕かれたような小さな岩片が弱溶結したマトリックスからなる.角礫の縁はガラス質になっているものがある.新山溶岩ドーム は現在の鳥海山の山頂部を形成している部分である.ドームの比高は50m,体積は9.0×10-4km3である(林, 1984).溶岩ドーム内部は柱状節理と板状節理がよく発達している.また,苦鉄質包有岩も見られる.
1800-1804年噴出物は一部の包有岩を除き,中間-高カリウムのカルクアルカリ系列に属する.斑晶組み合わせは斜長石,単斜輝石,斜方輝石,不透明鉱物±かんらん石,角閃石である.斜長石は清澄なものよりも,汚濁帯や蜂の巣状構造といった溶融組織を持つものが卓越する.斜方輝石とかんらん石は反応縁を伴うものが認められるが,角閃石には認められない.母岩の中でも新山溶岩は斑晶を多量に含む(48-50vol.%)が,その他の斑晶量は26-36vol.%である.苦鉄質包有岩の斑晶量は20-30 vol.%である.母岩の石基組織はハイアロオフィティック組織,包有岩の石基組織はディクチタキシティック組織である.ただし,ディクチタキシティック組織中のマイクロライトの大きさは試料によって異なる.
噴出物のSiO2量は,母岩で約60-62wt.%(SL, 60.7-60.8 wt.%; SPFD pumice 60.7-61.2 wt.%; SPFD lithic fragments, 60.8-61.1 wt.%; SPFD volcanic bomb, 60.5-61.5 wt.%; SPFD breccia bomb, 60.7-61.0 wt.%; SLD, 61.2-62.2 wt.% ) ,包有岩で約52-57 wt.%(SL 53.3 wt.%; SPFD lithic fragments, 54.2 wt.%; SPFD volcanic bomb, 56.5 wt.%; SPFD breccia bomb, 52.6-54.8 wt.%; SLD 54.0-55.8wt.%)である.母岩と包有岩は角礫状火山弾の包有岩を除き直線的なトレンドをなす.それぞれのSiO2量は新山溶岩ドームの母岩も包有岩もSiO2量はほかの噴出物に比べてやや高い.新山降下火砕堆積物中の軽石と石質岩片のSiO2量はほぼ同じである.