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[SCG64-23] 走時インバージョンによるオントンジャワ海台の地殻の厚さ
キーワード:大規模火成岩区域, オントンジャワ海台, マルチチャンネル反射法, 海底地震計, 走時, インバージョン
オントンジャワ海台(OJP)は地球上で最大級の海台である。西太平洋赤道付近に位置する水深4000mより浅い海底の高まりであり、その面積は日本の5倍に匹敵する広大な範囲を占める。表層のサンプリングや掘削の結果から、火成岩が広く分布している大規模火成岩区域(LIPs)の代表例とされている(例えばCoffin and Eldholm (1994))が、通常のプレートテクトニクス理論では説明のつかない対象であり、観測事実をすべて説明できる形成モデルはまだない。地質学的に短期間で形成されたと考えられることや、その巨大な対象の面積および体積から、形成時における環境への影響が大きかったであろうことは想像に難くない。そのため形成モデルを解決すること、および環境への影響を考える上で、OJPの地殻構造を知ることは重要である。OJPにおける地殻構造探査は1960年代から行われてきているがモホ面深度を求めている結果は多くなく、しかも観測手法による差がある。地震探査によると35-42㎞(Furumoto et al., 1976)だが、重力によると25㎞(Sandwell and Renkin, 1988)や32㎞(Gladczenko et al., 1997)となっている。OJP南端部における探査結果(Miura et al. (2004))から、フォーワードモデリングによってモホ面深度は35㎞と報告されている。Korenaga (2011)によるインバージョン解析によってもほぼ同様の結果が得られている。OJP中央部におけるモホ面深度は依然はっきりしておらず、高精度の探査が必要であった。このような観点から2010年に海底地震計(OBS)を用いた大規模探査をOJP中央部にて実施した(Miura et al., 2011)。これまでは初動トモグラフィおよびフォーワードモデリングを中心とした解析をしてきた(Miura et al., 2013)が、記録上の水中残響を低減するデータ処理を施すとともに、OBS記録上の初動と後続反射波のうち振幅が大きく一番遅いと思われる相(PmP)を用いる走時インバージョン解析に着手した(Miura et al., 2014)。初期モデルの影響を考慮するためモホ面の初期深度を複数の場合で実施し、いずれの場合でもOJP中央部におけるモホ面深度は従来の値より大きいものとなった。今後はKorenaga (2011)に準じた不確定性解析を実施して、モホ面深度の信頼性について確認する予定である。