日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-TT 計測技術・研究手法

[S-TT54] 合成開口レーダー

2015年5月25日(月) 09:00 〜 10:45 201A (2F)

コンビーナ:*山之口 勤(一般財団法人 リモート・センシング技術センター)、小林 知勝(国土交通省国土地理院)、宮城 洋介(防災科学技術研究所)、座長:山之口 勤(一般財団法人 リモート・センシング技術センター)、小林 知勝(国土交通省国土地理院)

10:15 〜 10:30

[STT54-13] ALOS-2 PALSAR-2ミッションの現状と森林観測

*島田 政信1渡辺 学1本岡 毅1 (1.宇宙航空研究開発機構)

キーワード:合成開口レーダ, 森林観測, 校正検証, SAR干渉

PALSAR-2を搭載したALOS-2は, 2014年5月24日に種子島宇宙センターから, 回帰周期14日, 赤道上高度628kmの太陽同期準回帰軌道に打ち上げられた. 本衛星は主として5種類の観測目的(ミッション)を有しており, 1) 近年頻度と規模が増大する災害時の緊急観測と被災地への情報提供, 2) 森林減少や極域氷河の減少などで知られる地球環境監視, 3) 農業や国土監視, 4) 石油等の資源監視, 5) 将来高性能センサのための技術開発である. これらに応えるために, ALOS-2及び主センサであるPALSAR-2には様々な工夫が加えられた. 例えば, 1) 衛星進行方向に1mの分解能をもつSpotlightモードの付加, 2) 3mの分解能と多重偏波で50~70kmの観測幅で帯状観測ができるストリップモード, 3) 350/490kmの観測幅を持つ2偏波のScanSARモード, 4) 14日の回帰周期と半径500m以内の軌道保持による干渉精度の向上, 5) 緊急観測要請後72時間以内の緊急干渉観測の実施, 6) ほぼ9割以上のScanSARのビーム同期の実現と広域干渉SARの円滑化である. これまでに衛星は基本観測計画(BOS-2)に従って運用され、2014年の観測でのデータ取得状況は55,530 シーンであり, これは計画の62.7 % である. 2015年に打ち上げ以降初めての全球森林観測を達成できると考えている. このような高機能なPALSAR-2データの利活用を進めるためのALOS-2解析研究プログラムは地球観測研究センター(EORC)主導で行われる. その構成要素は、校正検証、応用研究であり, センサとしてはALOS-2/PALSAR-2だけでなく航空機搭載のPi-SAR-L2を用いる. 本報告ではPALSAR-2の現状や地球規模での観測結果についてPALSARとの比較を通して紹介する。