日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS22] 地球流体力学:地球惑星現象への分野横断的アプローチ

2015年5月27日(水) 11:00 〜 12:45 106 (1F)

コンビーナ:*伊賀 啓太(東京大学大気海洋研究所)、中島 健介(九州大学大学院理学研究院地球惑星科学部門)、吉田 茂生(九州大学大学院理学研究院地球惑星科学部門)、柳澤 孝寿(海洋研究開発機構 地球内部ダイナミクス領域)、相木 秀則(海洋研究開発機構)、座長:中島 健介(九州大学大学院理学研究院地球惑星科学部門)

12:00 〜 12:15

[MIS22-12] 階段状渦度域で構成される順圧軸対称渦上の非軸対称擾乱の最適励起

*板野 稔久1 (1.防衛大学校地球海洋学科)

キーワード:最適励起, 特異値, 特異ベクトル, 順圧渦, 複合渦

自然界や人工的に作られる渦にみられる階層構造(複数の2次渦が親渦の中心核の周囲を公転する構造)を念頭に、3つの階段状渦度域で構成される軸対称順圧渦に関する線形特異値問題を定式化し、解析的に解を導出した。そのため、まず非発散順圧渦度方程式を上述した基本接線流の周りで線形化し、これを整理して2階の連立常微分方程式を導出した。この方程式は、基本場の渦度不連続に起因するロスビー波の振幅を成分とするベクトルXで記述され、これを初期値問題として解くと、任意の時間におけるベクトルXを初期値と関係付ける解核行列が得られる。この解核行列をもとに、L2ノルム(ロスビー波の振幅の二乗)の下での前方および後方特異ベクトルと特異値を導出した。
結果は、基本場の渦度分布の形から大きく2種類に大別される。まず、リング状の高渦度域で特徴づけられるMichalkeとTimmeの渦では、前方・後方特異ベクトルおよび成長する固有ベクトルは、お互いに比較的似た形態をとる。これとは対照的に、正の渦度を持つ中心核を負の渦度域が取り囲むSyonoの渦においては、前方特異ベクトルが、後方特異ベクトルあるいは成長する固有ベクトルと全く異なった形をしていることが明らかとなった。エネルギーをノルムとした場合に得られるいくつかの結果についても紹介する。