15:15 〜 15:30
[SVC49-05] UAVを用いた御嶽山の噴煙観測
キーワード:御嶽山, 火山ガス, UAV
2014年9月27日正午ごろ、御嶽山火山は水蒸気噴火を起こし、多くの登山客の人命を奪う大きな被害をもたらした。噴火噴煙は高度1万メートル近くにも達し、降灰は約100km東に離れた山梨県でも確認された(気象庁、2014年9月)。その後、噴煙活動は次第に減衰したが、2015年2月現在でも白煙を上げ続けている。
我々は、2014年11月20日および21日に、マルチコプター式UAVを利用した噴煙観測を行い、二酸化硫黄放出量測定、噴煙中の多成分濃度測定、熱赤外映像測定と噴煙中微粒子採取の4項目の調査を実施した。御嶽山の観測にあたっては、UAVは、標高3000mの上空を往復で4km程度飛行することが要求されたため、ペイロードを1㎏程度と設定し、各装置の軽量化と小型化を行った。二酸化硫黄放出量測定では、シングルボードコンピュータで制御する紫外分光装置をUAVに搭載し、噴煙下を飛行させトラバース測定を行った。多成分濃度測定では、H2S、SO2、CO2、H2および温湿度計(H2O 用)を搭載したUAVを噴煙高度まで上昇させ水平飛行させることで、噴煙内の各成分濃度の測定を行った。また、この飛行の際には、UAVに粘着シートを取付けることで、噴煙内部の微粒子の採取を行った。熱赤外映像測定では、UAVにサーモグラフィーカメラを搭載し、噴火火口にあたる地獄谷周辺を撮像した。11月20日は噴煙が北東に流れていたため地獄谷火口から約3.5km東北東の飯森高原駅から、11月21日は噴煙が東南東方向に流れていたため火口から3km南東の田ノ原公園よりそれぞれUAVを離着陸させた。
UAVを用いた噴煙観測により、11月20-21日時点の二酸化硫黄放出量は130-140 ton/day、噴煙中のSO2/H2Sモル比は約0.09という結果が得られた。H2、CO2、H2Oについては、大気の混合の影響が大きく、火山ガス起源の寄与を明らかに検出するに至らなかった。一方、熱赤外映像からは、地獄谷付近の標高の沸点に対応する90.6℃が、噴気孔の根元付近で観測された。また,粘着シートには鉱物片を含む微粒子が付着していたが,フライト時の噴煙由来のものではなく,風などにより巻き上げられた粒子である可能性が高い.
UAV観測に先立ち10月9日に実施した有人ヘリによる多成分濃度観測ではSO2/H2Sモル比は0.3で、比の値が11月20-21日までに有意に減少したことがわかる。二酸化硫黄放出量は、噴火当初1000 ton/dayを超えていたが、10月9日には400-500 ton/day(気象庁、2014年10月)、噴火の約2か月後には噴火当初に比べ約1ケタ小さくなり顕著な減少が見られた。しかし、総硫黄放出量としては10/9は約1000 ton/day、11/20-21は800 ton/dayであり、大きな変化は見られていない。以上からも明らかにように、2014年御嶽山火山噴火後の噴煙活動は、大規模な硫黄放出が特徴であるが、噴気温度は低温かつ、SO2/H2Sモル比が小さいことから、観測した火山ガスが直接マグマから放出したものとは考えにくい。
1979年御嶽山火山噴火の際には、噴火直後から山頂噴気の採取と分析が繰り返し行われており、噴火直後に5であったSO2/H2Sモル比は噴火の約1年後には0.1まで下がっていた(小坂他、1983)。こうしたSO2/H2S モル比の減少 は1979年と2014年の両噴火で共通してみられる傾向である。両噴火の詳細な比較は、今後の御嶽山の活動推移を予測する上で重要である。
我々は、2014年11月20日および21日に、マルチコプター式UAVを利用した噴煙観測を行い、二酸化硫黄放出量測定、噴煙中の多成分濃度測定、熱赤外映像測定と噴煙中微粒子採取の4項目の調査を実施した。御嶽山の観測にあたっては、UAVは、標高3000mの上空を往復で4km程度飛行することが要求されたため、ペイロードを1㎏程度と設定し、各装置の軽量化と小型化を行った。二酸化硫黄放出量測定では、シングルボードコンピュータで制御する紫外分光装置をUAVに搭載し、噴煙下を飛行させトラバース測定を行った。多成分濃度測定では、H2S、SO2、CO2、H2および温湿度計(H2O 用)を搭載したUAVを噴煙高度まで上昇させ水平飛行させることで、噴煙内の各成分濃度の測定を行った。また、この飛行の際には、UAVに粘着シートを取付けることで、噴煙内部の微粒子の採取を行った。熱赤外映像測定では、UAVにサーモグラフィーカメラを搭載し、噴火火口にあたる地獄谷周辺を撮像した。11月20日は噴煙が北東に流れていたため地獄谷火口から約3.5km東北東の飯森高原駅から、11月21日は噴煙が東南東方向に流れていたため火口から3km南東の田ノ原公園よりそれぞれUAVを離着陸させた。
UAVを用いた噴煙観測により、11月20-21日時点の二酸化硫黄放出量は130-140 ton/day、噴煙中のSO2/H2Sモル比は約0.09という結果が得られた。H2、CO2、H2Oについては、大気の混合の影響が大きく、火山ガス起源の寄与を明らかに検出するに至らなかった。一方、熱赤外映像からは、地獄谷付近の標高の沸点に対応する90.6℃が、噴気孔の根元付近で観測された。また,粘着シートには鉱物片を含む微粒子が付着していたが,フライト時の噴煙由来のものではなく,風などにより巻き上げられた粒子である可能性が高い.
UAV観測に先立ち10月9日に実施した有人ヘリによる多成分濃度観測ではSO2/H2Sモル比は0.3で、比の値が11月20-21日までに有意に減少したことがわかる。二酸化硫黄放出量は、噴火当初1000 ton/dayを超えていたが、10月9日には400-500 ton/day(気象庁、2014年10月)、噴火の約2か月後には噴火当初に比べ約1ケタ小さくなり顕著な減少が見られた。しかし、総硫黄放出量としては10/9は約1000 ton/day、11/20-21は800 ton/dayであり、大きな変化は見られていない。以上からも明らかにように、2014年御嶽山火山噴火後の噴煙活動は、大規模な硫黄放出が特徴であるが、噴気温度は低温かつ、SO2/H2Sモル比が小さいことから、観測した火山ガスが直接マグマから放出したものとは考えにくい。
1979年御嶽山火山噴火の際には、噴火直後から山頂噴気の採取と分析が繰り返し行われており、噴火直後に5であったSO2/H2Sモル比は噴火の約1年後には0.1まで下がっていた(小坂他、1983)。こうしたSO2/H2S モル比の減少 は1979年と2014年の両噴火で共通してみられる傾向である。両噴火の詳細な比較は、今後の御嶽山の活動推移を予測する上で重要である。