日本地球惑星科学連合2015年大会

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ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-GM 地形学

[H-GM22] 地形

2015年5月26日(火) 18:15 〜 19:30 コンベンションホール (2F)

コンビーナ:*島津 弘(立正大学地球環境科学部地理学科)、小口 千明(埼玉大学大学院理工学研究科)、瀬戸 真之(福島大学うつくしま福島未来支援センター)

18:15 〜 19:30

[HGM22-P06] デジタル空中写真画像を用いた,植生の影響を考慮した3次元数値標高モデルの作成

*遠藤 涼1須貝 俊彦1 (1.東京大学)

キーワード:デジタル空中写真, DEM, オルソ画像, 植生, NDVI

近年の測量技術の発達により,高精度な地形データが全国的に整備されつつある.特に,航空レーザー測量による高精度数値標高モデル(Digital Elevation Model, DEM)は,さまざまな分野で利用されている.しかし,平野部と比べて山間部の地形データの精度が低く,また山間部では航空レーザー測量が十分に整備されていない.そのため,山間部において滑落崖やクラックといった微地形やその位置が正確に表現された地形図がほとんどない(八木ほか(2003);佐藤ほか(2004))ので,広範囲にわたる3次元DEMの作成が必要である.
一方で,Structure from motion(Sfm)技術とMulti-View Stereo(MVS)を統合した技術が応用され,デジタル空中写真画像から地形の数値表面モデルの作成が試みられている(たとえば,内山ほか(2014)).そこで,本研究では日本全国を網羅している国土地理院発行の空中写真から,Sfmの技術を用いて3次元DEMを作成する.空中写真を用いての3次元DEMの作成にあたって課題となるのは,DEMの精度に影響する植生の除去である.そこで,森林限界より標高が高く植生が少なく,植生高が低い山地地域が適当であると考え,木曽山脈を対象とした.
3次元モデルの作成手法は主に,①植生の抽出,②①で抽出された植生箇所を空中写真上でマスク,③Sfm-MVSソフトウェアを用いて3次元モデルを作成,の三段階からなる.植生の抽出には,赤外光と近赤外光の強度を利用したNDVI(Normalized Difference Vegetation Index,正規化植生指標)が用いられる.しかし,国土地理院の空中写真は可視光を撮影したものでありNDVIを計算することができないので,本研究では,Richardson et al(2007)が提案した,緑色の濃さを表す2G_RBiという指標を導入する.NDVIと2G_RBiの相関関係を求めるため,Landsatの衛星画像からNDVIと2G_RBiの指標をそれぞれ計算し,NDVIと2G_RBiの植生・非植生の閾値を決定する.このようにして空中写真上で植生と判定された箇所にマスクをかけたのち,Sfm-MVSソフトウェアであるAgisoft社のPhotoScanを用いてオルソ画像を作成し,3次元地形モデルを作成する.
本発表では,作成されたDEMおよびDEMの精度について述べる.