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[SVC47-P07] 草津白根火山香草溶岩のマグマ混交: ボーリングコア試料分析の予察的結果
キーワード:マグマ混交, マグマ混合, 草津白根火山
東京工業大学の草津白根火山観測所は3つのボアホール型地震・傾斜計を草津白根山湯釜付近に設置している。この中で、湯釜北東観測井は香草溶岩の流域直上から掘削されており、厚さ50m以上の香草溶岩を貫通している(宇都・他, 2004)。香草溶岩は、およそ7ka頃に水釜付近を火口とし、東麓の大沢川の谷に流下した(早川, 1983)。早川(1983)や宇都・他(1983)、高橋・他(2010)などで地表試料の分析が行われており、SiO2が58-65wt.%の安山岩からデイサイトであると記載されている。特に、宇都・他(1983)は、一枚の溶岩流の中で安山岩質のものとデイサイト質の部分が縞状(数十cmおき)に重なり合っているところがあるとしており、マグマが混ざりながら溶岩が流出したと言及した。50mもの長さのコアを調べ、香草溶岩噴出時のマグマ混合(混交)の空間・時間スケールを理解することは、マグマ混合が頻繁に起こっていると考えられている島弧の安山岩が主体の火山を理解することに繋がる。本研究では、宇都・他(2004)のコア記載をベースに、数mおきに試料を採取し全岩主成分元素組成を測定した。
コアからマグマが混ざり縞状になっていない箇所を切り出し、それぞれ粉末にした。また、一部コア試料において複雑に混ざり合った箇所については、それ全体を粉末にした。分析は、東京工業大学設置のXRF(RIGAKU RIX2100)を用い、11倍希釈のガラスビード法により行った。結果は、多くのサンプルがSiO2でおよそ65wt.%のデイサイト、60wt.%の安山岩組成の2つのグループに分類でき、全体の傾向を見ると中間の組成をもつサンプルは、その2つを端正分としたマグマ混合によるものだと見なすことができる。上部(およそ深さ35m)まではデイサイトが主体であり、それよりも下部においては密な安山岩が主体であり、宇都・他(2004)による記載と整合的である。また、最下部においてもデイサイトとの混合が見られる。これらの結果から、組成で見て2種の混ざり合ったマグマが、均質になるまでの時間を経ずに溶岩が流出したと考えることができる。これらを踏まえ、タイムスケールの議論をしていくために、詳細な岩石記載を行い、特に2種のマグマの境界部で斑晶のゾーニングプロファイルを詳細に見ていきたい。
コアからマグマが混ざり縞状になっていない箇所を切り出し、それぞれ粉末にした。また、一部コア試料において複雑に混ざり合った箇所については、それ全体を粉末にした。分析は、東京工業大学設置のXRF(RIGAKU RIX2100)を用い、11倍希釈のガラスビード法により行った。結果は、多くのサンプルがSiO2でおよそ65wt.%のデイサイト、60wt.%の安山岩組成の2つのグループに分類でき、全体の傾向を見ると中間の組成をもつサンプルは、その2つを端正分としたマグマ混合によるものだと見なすことができる。上部(およそ深さ35m)まではデイサイトが主体であり、それよりも下部においては密な安山岩が主体であり、宇都・他(2004)による記載と整合的である。また、最下部においてもデイサイトとの混合が見られる。これらの結果から、組成で見て2種の混ざり合ったマグマが、均質になるまでの時間を経ずに溶岩が流出したと考えることができる。これらを踏まえ、タイムスケールの議論をしていくために、詳細な岩石記載を行い、特に2種のマグマの境界部で斑晶のゾーニングプロファイルを詳細に見ていきたい。