16:51 〜 16:54
[PPS24-P03] ダストの空隙率とシリケイトフィーチャーの関係
ポスター講演3分口頭発表枠
キーワード:原始惑星系円盤, ダストアグリゲイト, 光学特性
岩石惑星の主要な材料であるシリケイトダストの光吸収係数は波長10 μm付近に特徴的なフィーチャーを示し、このフィーチャーはSpitzer望遠鏡等による中間赤外線の分光観測によって数多くの原始惑星系円盤から見つかっている。従来は、観測されたフィーチャーをダストのサイズや組成をパラメーターとして変化させ、再現することで、円盤に存在するダストの特性に制約を与えてきた。近年、原始惑星系円盤のダストは高い空隙率を持って成長することが示唆されている。しかし、現実の円盤において、高空隙率ダストの存在は観測的に検証されてはいない。そこで、本研究では空隙率というパラメーターに応じて、シリケイトフィーチャーがどのように変化するかについて調べ、ここから観測的に高空隙率ダストの存在を検証することを目的とする。
本研究ではT-Matrix法と呼ばれる数値計算法を用いて、空隙を持ったダストのシリケイトフィーチャーを計算した。従来、空隙を持たないダスト(コンパクトダスト)はサイズが大きくなるにつれ、フィーチャーのピーク波長が長波長側へとシフトしながら、強度が下がっていく性質があることが知られていた。しかし、我々は空隙を考慮したダストの場合には、サイズを大きくしてもピーク波長は殆ど変化せずに、強度が下がっていく性質があることを明らかにした。これは高空隙率ダストが実効的には真空に近い光学定数を持っているためと理解することができる。また、現実の円盤に存在するダストはサイズ分布を持っていると考えられるが、サイズ分布を持っていたとしても同様の傾向が得られることを有効媒質近似を用いて確かめた。次に、このようなコンパクトダストと高空隙率ダストの違いはフィーチャーのピーク波長付近(〜10 μm)での強度と長波長側(〜12 μm)での比を取ることで、判別することができることを示した。以上の結果は、観測された10 μmのフィーチャーにおいて2つの波長での比を取ることで、観測的に円盤に存在するダストがコンパクトか高空隙率ダストかを判別可能である可能性を示唆している。
本研究ではT-Matrix法と呼ばれる数値計算法を用いて、空隙を持ったダストのシリケイトフィーチャーを計算した。従来、空隙を持たないダスト(コンパクトダスト)はサイズが大きくなるにつれ、フィーチャーのピーク波長が長波長側へとシフトしながら、強度が下がっていく性質があることが知られていた。しかし、我々は空隙を考慮したダストの場合には、サイズを大きくしてもピーク波長は殆ど変化せずに、強度が下がっていく性質があることを明らかにした。これは高空隙率ダストが実効的には真空に近い光学定数を持っているためと理解することができる。また、現実の円盤に存在するダストはサイズ分布を持っていると考えられるが、サイズ分布を持っていたとしても同様の傾向が得られることを有効媒質近似を用いて確かめた。次に、このようなコンパクトダストと高空隙率ダストの違いはフィーチャーのピーク波長付近(〜10 μm)での強度と長波長側(〜12 μm)での比を取ることで、判別することができることを示した。以上の結果は、観測された10 μmのフィーチャーにおいて2つの波長での比を取ることで、観測的に円盤に存在するダストがコンパクトか高空隙率ダストかを判別可能である可能性を示唆している。