16:45 〜 17:00
[STT53-03] MeSO-netデータの自動処理(2):見かけ速度適合法による地震検出と相関法による到着時測定
キーワード:地震検出, 自動処理, 局所定常ARモデル, 波形相関法, MeSO-net
§1. はじめに
我々は首都圏に296箇所の中感度地震観測点からなる首都圏地震観測網(Metropolitan Seismic Observation network: MeSO-net)を整備し維持・管理している。この観測網の特徴は、多点の広帯域加速度計からの信号を連続で収録していることにある。そのために、自律協調型のデータ転送手順(ACT;森田他、2010)を開発して、比較的低コストの通信回線で確実に高品質のデータを取得できるようにした。MeSO-netの連続記録から自動的に地震を検出する手法(見かけ速度適合法)と、多次元(2次元または3次元)局所定常ARモデルMulti-variate locally-stationary autoregressive (MLSAR) model (Takanami and Kitagawa, 1991)を用いた地震波到着時刻の自動検測システムを開発した。本講演では、さらに波形相関法を用いて、地震誤検出の低減を測り、実用的な自動処理システムの開発手法を提案する。
§2. 見かけ速度適合法による地震検出(AVM法)
走査型地震検出法(中川・平田、2000)を応用し、地震とノイズの判定および暫定震源の推定を行う方法「見かけ速度適合法(Apparent velocity matching method: AVM)」(平田他、2014年度日本地震学会秋季大会C32-03)を開発した。この方法では、まず、winシステム(Urabe他,1992)のpmonによって、連続波形の振幅の短時間平均(STA)と長時間平均(LTA)の比(STA/LTA)によって地震候補の事象を検出したあと、観測点毎の波形を正規化・単純化して、多点観測点データ間の見かけ速度の適合度を評価し、地震波相(PまたはS相)の判定と暫定震源の推定を行う。
§3. ノイズ混入率の低減
2011年9月4日から9月16日の13日間の連続記録に本AVM法を適用したところ、地震検出率は94%、正解率98%を実現できた。検出された地震の内、約24%は気象庁一元化震源に無い地震であった。一方、目視ではノイズと判定されたが、AVM法では地震と判定された事象の割合(ノイズ混入率)は12%に上った。そこで、標準波形との波形相関を計測する手法を適応してノイズ混入率を低減させることを試みた。
§4. 絶対到着時刻と相対到着時刻の計測
P-、S-波の到着時刻は、観測データに局所定常多成分ARモデル(MLSARモデル; Takanami, 1991)をあてはめて、P、S波の到着時刻を0.01秒の分解能で自動的に測定する。さらに、標準波形との波形相関を取り、相対到着時刻を計測する。
謝辞
本研究では気象庁一元化震源、一元化処理による読み取り値、文部科省受託研究「首都直下地震防災・減災特別プロジェクト・サブプロジェクト①」および「都市の脆弱性が引き起こす激甚災害の軽減化プロジェクト・サブプロジェクト①」によるMeSO-netデータを用いた.
我々は首都圏に296箇所の中感度地震観測点からなる首都圏地震観測網(Metropolitan Seismic Observation network: MeSO-net)を整備し維持・管理している。この観測網の特徴は、多点の広帯域加速度計からの信号を連続で収録していることにある。そのために、自律協調型のデータ転送手順(ACT;森田他、2010)を開発して、比較的低コストの通信回線で確実に高品質のデータを取得できるようにした。MeSO-netの連続記録から自動的に地震を検出する手法(見かけ速度適合法)と、多次元(2次元または3次元)局所定常ARモデルMulti-variate locally-stationary autoregressive (MLSAR) model (Takanami and Kitagawa, 1991)を用いた地震波到着時刻の自動検測システムを開発した。本講演では、さらに波形相関法を用いて、地震誤検出の低減を測り、実用的な自動処理システムの開発手法を提案する。
§2. 見かけ速度適合法による地震検出(AVM法)
走査型地震検出法(中川・平田、2000)を応用し、地震とノイズの判定および暫定震源の推定を行う方法「見かけ速度適合法(Apparent velocity matching method: AVM)」(平田他、2014年度日本地震学会秋季大会C32-03)を開発した。この方法では、まず、winシステム(Urabe他,1992)のpmonによって、連続波形の振幅の短時間平均(STA)と長時間平均(LTA)の比(STA/LTA)によって地震候補の事象を検出したあと、観測点毎の波形を正規化・単純化して、多点観測点データ間の見かけ速度の適合度を評価し、地震波相(PまたはS相)の判定と暫定震源の推定を行う。
§3. ノイズ混入率の低減
2011年9月4日から9月16日の13日間の連続記録に本AVM法を適用したところ、地震検出率は94%、正解率98%を実現できた。検出された地震の内、約24%は気象庁一元化震源に無い地震であった。一方、目視ではノイズと判定されたが、AVM法では地震と判定された事象の割合(ノイズ混入率)は12%に上った。そこで、標準波形との波形相関を計測する手法を適応してノイズ混入率を低減させることを試みた。
§4. 絶対到着時刻と相対到着時刻の計測
P-、S-波の到着時刻は、観測データに局所定常多成分ARモデル(MLSARモデル; Takanami, 1991)をあてはめて、P、S波の到着時刻を0.01秒の分解能で自動的に測定する。さらに、標準波形との波形相関を取り、相対到着時刻を計測する。
謝辞
本研究では気象庁一元化震源、一元化処理による読み取り値、文部科省受託研究「首都直下地震防災・減災特別プロジェクト・サブプロジェクト①」および「都市の脆弱性が引き起こす激甚災害の軽減化プロジェクト・サブプロジェクト①」によるMeSO-netデータを用いた.