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[HGG21-02] 福島県西会津町における農地利用の変遷と植林地の管理
キーワード:農地利用, 植林地, 他出子弟, 西会津町
日本における多くの農山村で高齢化は大きな問題であり,その中でも「限界集落」に分類される集落では農地資源の利用,管理が喫緊の課題となっている。こうした背景から寺床(2009)は限界集落における耕作放棄地の拡大要因を検討し,農地に対する植林の有効性を示しているが,植林地における管理の実態は検討されていない。植林地を含めた林地資源によって供給される水源涵養機能や山地災害防止機能などを享受するためには,植林地についても適切な利用および管理が必要である。
また,高齢化によって農村における労働力が減少下における持続的な農地管理に関しては,農地集積による大規模経営の展開(森田ほか,2009)や農家組織の拡大および拡充(谷口,2001;作野,2006)が指摘されているが,土地生産性が乏しく,労働力の減少が著しい山間部の限界集落においては荒木(1992)や芦田(2006,2010)によって検討されている他出した子弟による農作業および林作業への従事は大きな意義を持つ。
本報告で取り上げる福島県西会津町は,日本において最大の耕作放棄地面積を有する福島県内においても特に耕作放棄地が拡大している自治体であり,その耕作放棄地面積率は29.2%にも上る。また,町内全域が過疎指定を受けており,2010年の町内高齢化率は41.4%である。このように西会津町は耕作放棄の拡大と高齢化の進行という性格が強い自治体であるが,町内には磐越自動車道のインターチェンジがあり,交通条件では恵まれている。さらに,西会津町からの人口流出は1980年代初頭までは関東地方が中心であったが,それ以降は福島県内への人口流出が主であり,その中でも磐越自動車道によって結ばれている会津若松市や郡山市への人口流出が多い。このような交通条件および人口流出の動向を踏まえれば,西会津町は他出子弟による農業および林業への従事が行われやすい環境である。本報告ではこういった地域特性を持つ西会津町における農地利用の変遷を把握し,現在の農作業および林作業が他出子弟を含めてどのように担われているのかを検討する。そして,これらの検討を踏まえて限界集落における農地資源および林地資源の管理について展望について考察する。
また,高齢化によって農村における労働力が減少下における持続的な農地管理に関しては,農地集積による大規模経営の展開(森田ほか,2009)や農家組織の拡大および拡充(谷口,2001;作野,2006)が指摘されているが,土地生産性が乏しく,労働力の減少が著しい山間部の限界集落においては荒木(1992)や芦田(2006,2010)によって検討されている他出した子弟による農作業および林作業への従事は大きな意義を持つ。
本報告で取り上げる福島県西会津町は,日本において最大の耕作放棄地面積を有する福島県内においても特に耕作放棄地が拡大している自治体であり,その耕作放棄地面積率は29.2%にも上る。また,町内全域が過疎指定を受けており,2010年の町内高齢化率は41.4%である。このように西会津町は耕作放棄の拡大と高齢化の進行という性格が強い自治体であるが,町内には磐越自動車道のインターチェンジがあり,交通条件では恵まれている。さらに,西会津町からの人口流出は1980年代初頭までは関東地方が中心であったが,それ以降は福島県内への人口流出が主であり,その中でも磐越自動車道によって結ばれている会津若松市や郡山市への人口流出が多い。このような交通条件および人口流出の動向を踏まえれば,西会津町は他出子弟による農業および林業への従事が行われやすい環境である。本報告ではこういった地域特性を持つ西会津町における農地利用の変遷を把握し,現在の農作業および林作業が他出子弟を含めてどのように担われているのかを検討する。そして,これらの検討を踏まえて限界集落における農地資源および林地資源の管理について展望について考察する。