日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-TT 計測技術・研究手法

[M-TT43] ソーシャルメディアと地球惑星科学

2015年5月26日(火) 16:15 〜 17:00 203 (2F)

コンビーナ:*天野 一男(茨城大学理学部地球生命環境科学科)、小口 高(東京大学空間情報科学研究センター)、伊藤 昌毅(東京大学生産技術研究所)、座長:天野 一男(茨城大学理学部地球生命環境科学科)、小口 高(東京大学空間情報科学研究センター)

16:45 〜 16:48

[MTT43-P01] ローカル加速度センサーネットワークとソーシャルメディアの連携による見守りアプリの開発

ポスター講演3分口頭発表枠

*佐々木 亜季子1上松 大輝2竹内 達哉3藤原 了4金 亜伊1 (1.横浜市立大学、2.専修大学、3.横浜国立大学、4.伊藤忠テクノソリューションズ)

キーワード:MEMS加速度センサー, センサーネットワーク, ツイッター, フェイスブック, ラズベリーパイ, 見守り

Kim et al.(2015)ではMEMS加速度センサーと小型コンピュータであるRaspberryPiを用いて小型で安価な加速度センサーユニットを作成し、その集合体である地域の地震減災ネットワーク、Citizen Seismic Network (CSN)を構築した。
本発表では、上記プロジェクトで作成したセンサーユニット自身とネットワーク連携機能を拡張した見守りアプリの開発を行った。見守りアプリでは、地震発生時などに使用する地震計機能と、有事ではない際に日常的に使用する見守り機能を持つ。以下にそれぞれの機能の詳細を示す。

・地震計機能
CSNセンサーユニットでは、MEMS加速度センサーの値をリアルタイムで取得し、地震の検知と波形の記録が可能である。また、TwitterやFacebookといったソーシャルメディアと連動し、地震を検知した場合に自動で投稿する。この時地震を検知したユニットは「ゆれた」という事実や、震度といった情報を投稿することができ、ソーシャルメディアを経由することで、そのセンサーユニットが設置された場所の情報を得ることができる。しかし、投稿がないユニットの場合そのユニットの情報を得たいユーザは情報を得ることはできない。そこで、センサーネットワークを用いることで「ゆれた」という情報を伝搬させ、同じ時間帯に「ゆれてない」という情報をソーシャルメディアに投稿する。これにより、すべてのセンサーユニットの情報をセンサーネットワークやソーシャルメディア上で把握することが可能となる。また、後に述べる見守り機能の使用例に挙げられたペットのように、自らが情報を発信できない場合にセンサーユニット自身が情報をつぶやくことで、簡易的な安否確認を行うことが可能である。またユニットにはカメラモジュール、およびPi-panキットを接続し、センサーユニット自身で静止画像や動画の撮影機能を追加した。Pi-Panキットではカメラモジュールにチルトとパンの機能を追加している。カメラ機能の追加により、設置されたセンサーユニットから撮影された動画のストリーミングや、定期的に静止画を撮影し、定点観測を行うことができる。また、チルト・パン機能をインターネット接続された環境から操作する機能も実装されているため、閲覧者が確認したい箇所の動画や静止画を表示することが可能である。さらに、加速度センサーと組み合わせることで、常時静止画や動画を撮影するのではなく、振動検知をトリガーとして撮影を行うことができ、外からでも家の中、学校、職場の様子を知ることができる。

・見守り機能
上記のような機能の付加により、地震動のみではなく、センサー付近の動作をトリガーとして撮影を行うことができる。このような機能を用いることで、見守りセンサーユニットとしての使用することが可能である。特に共働き、または独身でペットを飼っている家庭の場合、外出時にペットの様子を確認したいというニーズが往々にして存在する。センサーユニットに実装された見守り機能と同等の商品はすでにいくつか市販されており、ペットのために購入している人も少なくない。このようなニーズの中で、地震計機能と組み合わせることで、より高度な見守りと非常時における簡易な安否確認が可能で、かつ安価な見守りユニットとして、CSNセンサーユニットの拡張を行った。

CSNセンサーユニットとセンサーネットワーク上に見守り機能を実装し、地震計機能を拡張することで、CSNセンサーユニットの実用性が向上された。引き続き機能の拡張を行うとともに、センサーネットワークの拡大を進める。