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[MIS01-P03] 流域の自然保全と空間スケールの関係:島根県高津川の事例
この発表では島根県高津川流域における環境変化から、自然保全と空間スケールの関係について述べる。地元では「清流日本一」とも呼ばれる81キロの高津川は、最近流量の減少、魚類の減少や瀬戸淵の環境変化が目立つようになっている。高津川本流にはダムがなく、比較的に豊富な自然に恵まれている河川ではある反面、流域レベルでは多数のストレスファクターが確認できる。流域森林の質的変化、支流域における汚染、砂防などによる物質のフローの妨げ、瀬戸淵の断片化などが主な問題として挙げられる。流域の一部では市民による環境保全活動が始まっていて、河口ではアンダンテ21というNPOがハマグリの調査を定期的に行い、ハマグリの生活と川の流れの変化の関係を探っている。このような調査からわかるように、大きな空間スケールにおける環境変化の因果関係をはっきり示すのが極めて難しいことである。このため、「変化」のメカニズムを調べ、ランドスケープ全体の健全性と、様々な変数同士の複雑な相互関係を理解することが必要である。特に河川は異なる景観や環境の間に「つながり」をつくるフローコリドアーであるので、流域自然の保全のため大きな空間スケールにまたがるプロセスの理解が極めて大事だと指摘できる。