日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-GL 地質学

[S-GL39] 地球年代学・同位体地球科学

2015年5月24日(日) 11:00 〜 12:45 A03 (アパホテル&リゾート 東京ベイ幕張)

コンビーナ:*田上 高広(京都大学大学院理学研究科)、佐野 有司(東京大学大気海洋研究所海洋地球システム研究系)、座長:佐野 有司(東京大学大気海洋研究所海洋地球システム研究系)、田上 高広(京都大学大学院理学研究科)

11:30 〜 11:45

[SGL39-10] 南アフリカ・バーバートン帯・フィグツリー層のU-Pb年代測定および有機炭素同位体測定

*原田 拓哉1清川 昌一1三木 翼1寺司 周平1堤 之恭2池原 実3 (1.九州大学理学部地球惑星科学科地球進化史部門、2.国立科学博物館地学研究部、3.高知大学海洋コア研究センター)

キーワード:U-Pb年代測定, 有機炭素同位体比測定, バーバートングリーンストーン帯

バーバートン帯・フィグツリー層群下部のマペペ層は,約32億年前の堆積岩からなり,層序的には火山岩主体のオンファワット層群の上に重なる(Lowe D. R. et al., 1999). しかし,岩相は場所ごとに大きく異なっており,比較的深い海から扇状地やBIFを含む浅海堆積層からなる.最終的には上方浅海化して,礫岩層からなるムーディーズ層群に移り変わるが,信頼できる堆積年代は明らかになっていない.本研究では、バーバートン帯南東部のコマチ川沿いに分布するマペペ層について,堆積年代の制限および堆積環境の復元を目的とし,層序記載および年代測定・帯磁率測定・有機炭素分析を行った.
南アフリカ・バーバートングリーンストーン帯における調査によって,以下のことが明らかになった.
【U-Pb放射年代測定】
フィグツリー層群マぺぺ層は,可能性の高い堆積年代の制限を行うと,少なくとも3080±19Ma以後に堆積したと解釈することができることが分かった.また,オンファワット層群では石英斑岩の貫入活動が約32億年前に起こっており,オンファワット層群の基盤岩に貫入している可能性あることが分かった.
【有機炭素分析】
緑色頁岩中の有機炭素量は最低値0.001wt.%,最大値は4.835wt.%,平均が0.72wt.%であった.コマチセクションから採取された緑色頁岩における有機炭素量を実現させるためには,1)現在より生物生産量を増加させる,2)酸化分解の量を減少させる,のどちらかを達成する必要があるが,生物生産量については,正味の生物生産量と砕屑粒子等他の供給量とのバランスで成り立っているため,有機炭素量だけでは議論は不可能である.また,黒色頁岩・緑色頁岩およびジャスパーの有機炭素同位体組成は-30.6‰から-20.3‰の間の値であった.本研究で得られた値におけるヒストグラムは-21‰から-32‰の間と-32‰以下の二つの範囲に分布し,そのうち前者はシアノバクテリアのような光合成細菌のとるδ13Corgのとる値と一致したため,これらの生物による活動の可能性が考えられる