日本地球惑星科学連合2015年大会

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セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-CG 地球人間圏科学複合領域・一般

[H-CG35] 堆積・侵食・地形発達プロセスから読み取る地球表層環境変動

2015年5月27日(水) 18:15 〜 19:30 コンベンションホール (2F)

コンビーナ:*山口 直文(茨城大学 広域水圏環境科学教育研究センター)、成瀬 元(京都大学大学院理学研究科)、清家 弘治(東京大学大気海洋研究所)、高柳 栄子(東北大学大学院理学研究科地学専攻)、池田 昌之(静岡大学)

18:15 〜 19:30

[HCG35-P06] オマーン北部、オマーン山地のAlwa層におけるfrutexitesの化学組成と分類

*本庄 連1吉田 孝紀2 (1.信州大学大学院理工学研究科、2.信州大学理学部地質科学科)

キーワード:三畳紀, 石灰岩, 化学組成, オマーン

オマーン北部、オマーン山地には三畳系石灰岩が堆積している.そのような石灰岩層の一つにAlwa層がある.Alwa層は主に赤色を呈するpeloidal wackestoneまたはpeloidal packstoneで構成される(Woods and Baud, 2009).また、一部に特徴的な黒色を呈する石灰岩、sheet crackと呼ばれる方解石で満たされた部分がレンズ状や層として挟まっており、そこでのみfrutexitesが見られる.frutexitesとはMaslov (1960)で述べられたFeやMnに富む樹木状のmicrostromatoliteであり、微生物活動によって層状構造を呈するとされる(Jakubowicz et al., 2014).しかし、Alwa層のfrutexitesの記載は十分に行われていない.そこで本研究ではAlwa層のfrutexitesの記載を行い、薄片観察結果と化学分析の結果を用いてfrutexitesの分類を行った.
Alwa層のfrutexitesは、鏡下観察において方解石層と金属鉱物の層が見られる.方解石層は白色のものとオレンジ色のものがあり、後者の方解石層はfrutexitesの一番外側の層の色としてよく見られる.このようなfrutexitesは大きさが0.1mmから1.5mmほどである.また大きさが0.1mmから0.5mm程度の全体的に黒色がかったfrutexitesが観察できる.このfrutexitesは前者と異なり、オレンジ色の方解石層はほとんど見られない.
また信州大学理学部所有EDS(JSM-6510A,日本電子株式会社製)によりそれぞれのfrutexitesの化学分析を行った.その結果、それぞれのfrutexitesの持つ金属鉱物層の組成に差異が見られた.通常のfrutexitesの金属鉱物層中にはMg、Mn、Feといった金属元素が含まれている.しかし、全体的に黒色がかった frutexitesの金属鉱物層からはそれらの元素の他にAl、Pが含まれている部分がある.これらの元素は後者のfrutexitesにおいてのみ特徴的に見られる元素である.
 よってこれらの結果からAlwa層のfrutexitesは方解石層の呈する色、frutexitesの大きさ、金属鉱物層の化学組成の特徴から二つに分類できる.Frutexitesは時代に関わらず、様々な環境の堆積物に保存されているので(Jakubowicz et al., 2014)、その多様性はAlwa層の堆積時の間隙水や底層水の変動と関連している可能性がある。