日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-AS 大気科学・気象学・大気環境

[A-AS21] 大気化学

2015年5月28日(木) 11:00 〜 12:45 201B (2F)

コンビーナ:*澤 庸介(気象研究所海洋・地球化学研究部)、竹川 暢之(首都大学東京 大学院理工学研究科)、金谷 有剛(独立行政法人海洋研究開発機構地球環境変動領域)、高橋 けんし(京都大学生存圏研究所)、谷本 浩志(国立環境研究所)、座長:笹川 基樹(独立行政法人国立環境研究所)

12:00 〜 12:15

[AAS21-17] インド水田地帯におけるオープンパスレーザーメタン計による大気メタン観測

*秀森 丈寛1松見 豊1中山 智喜1笹子 宏史1川崎 昌博1今須 良一2安立 美奈子3竹内 渉3寺尾 有希夫4野村 渉平4町田 敏暢4高橋 けんし5Surendra Dhaka6Jagmohan Singh6 (1.名古屋大学太陽地球環境研究所、2.東京大学大気海洋研究所、3.東京大学生産技術研究所、4.国立環境研究所、5.京都大学生存圏研究所、6.デリー大学)

キーワード:メタン, オープンパスレーザー分光, 水田, インド

メタンは二酸化炭素に次ぐ温室効果ガスであり、気候変動を議論する上で濃度変動や発生源寄与に関する情報を得ることは重要である。メタンガスは発生源が多様で地域差や季節変動を伴うためその正確な発生量を推定するには、衛星観測による全休規模の観測が不可欠である。そのためには地上観測ネットワークとの比較が重要であるが、現状の観測点のみでは十分とはいえない。先行研究から東南アジアから南アジア域では、夏季にメタン濃度が増加し、稲作により発生するメタンの影響が大きいことが衛星観測により示唆されている。一方で水田地帯や沼地などの遠隔では地上観測サイトが少ないことから、観測データの不確定性が大きいことも示唆されている。そこで本研究では、遠隔地でフラスコサンプリングと併用してサンプリング時以外のデータを補間できるような連続測定システムを構築した。また、開発した装置をインドの水田地域に設置し通年の連続観測を目指した。
測定装置として、ガス検出器計はアンリツ株式会社が開発したLaserMethaneRを用いた。本検出器はガスセルを用いないオープンパスの近赤外レーザー分光ガス検出器であり、コンパクト・低消費電力・防水・防塵で屋外でも使用可能である。波長変調分光法をもちいることで高感度・高速・選択的にメタン濃度を決定できる。レーザー光は適当な距離に設置した反射板で反射した光強度を装置に内蔵された検出器で検出するため、測定濃度はガス検出器から反射板までの平均濃度である。この装置をもとに電力供給・データロガー・リモートコントロールなどのデバイスと組み合わせ、屋外での無人連続観測ためのシステムを開発した
本装置を用い、インドの水田地帯から発生するメタンの季節変動を観測することを目標とし、インド・デリー郊外の農村(Sonepat, Haryana州)で2014年冬より試験観測を行っている。こでは、本測定のほかに国立環境研によるフラスコサンプリングも行われている。現状では、フラスコサンプルの値と本装置の値との比較点数を増やし、本装置のデータ精度の向上に努めている。今後、連続観測を安定して行うことで日中・季節変動を観測し気象・農耕条件などと比較検討する予定である。本発表では、本装置の概要とともに現在までの観測結果について発表する予定である。