12:15 〜 12:30
[SVC45-15] 精密水準測量データから推定する御嶽2014年噴火の準備過程(2006-2014)
キーワード:御嶽火山, 精密水準測量
長野県・岐阜県境の御嶽山において2014年9月27日に水蒸気噴火が発生した。紅葉シーズンの休日の昼間であったため山頂付近では多くの登山者が噴火に遭遇し、多数の死傷者が発生する戦後最大の火山災害となった。
御嶽山では1979年の有史初の水蒸気噴火以降、1991年、2007年にも小規模な水蒸気噴火を発生している。2007年の水蒸気噴火前にはGNSSにより山体の膨張が検出され、山頂直下へのマグマ貫入が推定されたが、2014年噴火の前には顕著な変化は検出されなかった(国土地理院、2007・2015)。直前の活動のみから火山活動の高まりを読み取るのは大変難しいことである。したがって長期的な目で現在の火山活動をとらえることが必要である。本研究では2006年―2014年の水準測量データを用い、2014年噴火に至る噴火準備過程の解明を試みた。
名大・他では、御嶽山東麓に屋敷野路線(16㎞)、木曽温泉路線(7㎞)を設置し繰り返し水準測量をおこなってきた(木股・他、2004)。本研究の対象としている2006年以降でも、2006年4月、2007年4月、2008年5月、2009年4月に路線の大部分が測量されている。また2013年8月にも短い距離ではあるが既存路線の一部が測量された。
2014年噴火後に、10月15日~17日に既存路線の再測量をおこなった。また、より山頂に近い領域での上下変動の検出をめざし、御岳ロープウエイ路線を新設した。
過去の水準測量結果と今回の結果を加えて、上下変動の時間変化を検討すると、2006年以降で変動パターンに変化が見られることが分かった。2006年以前は、東山麓の群発地震活動の活発な領域直上で隆起がとらえられていた(Kimata et al.,2004) 。しかし、2006年以降は、山頂方向が隆起するようなパターンに変化した。2007年の噴火後も、その隆起は沈降に転ずることはなく、2009年まで隆起傾向が継続している。短い区間の測量ではあるが2013年の測量結果からも、山頂隆起が2013年まで継続していたことが示唆される。そして、2009-2014年で、2006―2009年に山頂方向が隆起した量に相当する量(約1㎝)の山頂方向の沈降が検出された。
上下変動の時間変化から、以下のような火山活動の推移が示唆される。2006年に山頂直下へのマグマ貫入が発生し2007年噴火が発生した。しかし、噴火後も供給は継続し、山頂直下にマグマが存在し続ける状態が続いており、2014年噴火が発生した。2014年噴火後直下のマグマは収縮に転じ、2006年のマグマ貫入の以前のレベルまで収縮したと解釈される。
御嶽山では1979年の有史初の水蒸気噴火以降、1991年、2007年にも小規模な水蒸気噴火を発生している。2007年の水蒸気噴火前にはGNSSにより山体の膨張が検出され、山頂直下へのマグマ貫入が推定されたが、2014年噴火の前には顕著な変化は検出されなかった(国土地理院、2007・2015)。直前の活動のみから火山活動の高まりを読み取るのは大変難しいことである。したがって長期的な目で現在の火山活動をとらえることが必要である。本研究では2006年―2014年の水準測量データを用い、2014年噴火に至る噴火準備過程の解明を試みた。
名大・他では、御嶽山東麓に屋敷野路線(16㎞)、木曽温泉路線(7㎞)を設置し繰り返し水準測量をおこなってきた(木股・他、2004)。本研究の対象としている2006年以降でも、2006年4月、2007年4月、2008年5月、2009年4月に路線の大部分が測量されている。また2013年8月にも短い距離ではあるが既存路線の一部が測量された。
2014年噴火後に、10月15日~17日に既存路線の再測量をおこなった。また、より山頂に近い領域での上下変動の検出をめざし、御岳ロープウエイ路線を新設した。
過去の水準測量結果と今回の結果を加えて、上下変動の時間変化を検討すると、2006年以降で変動パターンに変化が見られることが分かった。2006年以前は、東山麓の群発地震活動の活発な領域直上で隆起がとらえられていた(Kimata et al.,2004) 。しかし、2006年以降は、山頂方向が隆起するようなパターンに変化した。2007年の噴火後も、その隆起は沈降に転ずることはなく、2009年まで隆起傾向が継続している。短い区間の測量ではあるが2013年の測量結果からも、山頂隆起が2013年まで継続していたことが示唆される。そして、2009-2014年で、2006―2009年に山頂方向が隆起した量に相当する量(約1㎝)の山頂方向の沈降が検出された。
上下変動の時間変化から、以下のような火山活動の推移が示唆される。2006年に山頂直下へのマグマ貫入が発生し2007年噴火が発生した。しかし、噴火後も供給は継続し、山頂直下にマグマが存在し続ける状態が続いており、2014年噴火が発生した。2014年噴火後直下のマグマは収縮に転じ、2006年のマグマ貫入の以前のレベルまで収縮したと解釈される。