日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC45] 活動的火山

2015年5月27日(水) 18:15 〜 19:30 コンベンションホール (2F)

コンビーナ:*青木 陽介(東京大学地震研究所)

18:15 〜 19:30

[SVC45-P18] 自動降灰観測装置の開発

*古川 竜太1及川 輝樹1 (1.産業技術総合研究所)

キーワード:火山灰, 観測装置, 花粉センサ, 重量計, インターネット

霧島山新燃岳2011年噴火を契機として始まった自動降灰観測装置の開発状況と成果を報告する.本研究の目的は噴火による降灰堆積量の準リアルタイム把握手法を開発し,噴火の進行状況を迅速に把握することによって噴火推移予測および過去の噴火堆積物からの噴火推移復元の高精度化に資することである.
装置は粒子カウンタ,重量計,カメラからなるセンサ群,バッテリ,太陽光発電パネル,風力発電機からなる給電部,およびそれらを制御するコントロール部からなり,継続的に自立観測を行うことが可能な仕様とした.今回新たに開発した新型機では装置の軽量化・小型化を進め,超音波センサによる堆積厚の測定機能を追加導入した.
霧島および桜島火山で装置の実地検証を行い,長期稼働および噴火による降灰の検出試験を実施した.その結果,ブルカノ式噴火による降灰の重量および画像の取得,ネットワーク送信は実用可能なレベルに達した.降灰重量は50g/m2以上の降灰であれば検知可能であり,より精度を高めることは可能である.花粉センサとネットワーク機器の火山ガス耐性に問題があり,長期的な観測には課題が残されている.
2014年度から導入した新型機では超音波センサによる堆積厚の測定機能を追加し,機器全体を軽量小型化したことにより,より火口近傍での観測が可能な仕様とした.現在,実地検証を行っているところである.
自動降灰観測装置は複数台の装置を無線LANで接続することで観測網を構築して,降灰量の即時推定をすることが当初の構想であった.降灰堆積物の規模と無線の仕様が折り合わないことから,現状では観測網の構築に機器毎のインターネット接続が必要である.迅速に火口近傍に設置して観測することは可能になりつつある.