15:00 〜 15:15
[MIS23-04] ジオパークにおける博物館・学習施設の役割
キーワード:ジオパーク, 博物館, 生涯学習, 地学教育, マネジメント
学校現場から地学の学習の場が少なくなっている近年、地学教育の場として生涯学習を推進する博物館の役割は大きくなってきている。また、地球科学を基盤とするジオパークも、地学教育の場として期待される。したがって、ジオパークの中での博物館の果たす役割は大きいと考えられる。ここでは各地の博物館および学習施設のジオパークとのかかわりを整理し、これからの博物館の役割について検討する。
伊藤(1991)は博物館の時代的変遷をまとめ、その中で日本の博物館を、
・第1世代:国宝や天然記念物など、希少価値をもつ資料(宝物)を中心に、その保存を運営の軸とする古典的博物館
・第2世代:資料を収集し、その公開と普及を運営の軸と博物館
・第3世代:社会の要請にもとづいて、必要な資料を見出し、市民の参加・体験を運営の軸とする博物館
に区分した。
その後、近年の博物館の活動は多様化し、博物岸から一方的に提供する展示や学習プログラムではなく、市民が自発的にそれらを利用し、博物館を科学的交流の場として使用するようになってきている。また、博物館自体も各地へ出向き、地域の人たちと一体になって進めるプログラムを展開している。それらに加えて自然環境の保護・保全や活用に関するシンクタンクとしての役割も強くなっている。さらに、特定の箱モノにこだわらないエコミュージアムも各地で展開されるようになっている。
ジオパークの活動には多かれ少なかれ博物館や学習施設がかかわっている。世界ジオパークネットワークのガイドラインでは、特に教育に関する項で、ジオパークが地域に地球科学や環境・文化に関する知識を伝えるための手段の一つとして博物館や学習施設の活用があげられている。ここでの博物館に期待されているのは主として展示の提供と、学習プログラムの提供のようである。また、ユネスコのホームページでは、「ジオパークは博物館ではなく様々なレベルの人が科学に関わる活動的な実験室のような場所」であると述べられている(http://www.unesco.org/new/en/natural-sciences/environment/earth-sciences/global-geoparks/some-questions-about-geoparks/geopark-and/science/)。この場合の博物館に対するイメージは、前後の文脈から判断して、展示物を静かに鑑賞するところと判断される。
一方、日本のジオパークに目を向けた場合、多くが展示室内にジオパークコーナーを設置しているのみで、博物館が積極的にジオパーク内で活動している例は少ない。またいくつかのジオパークでは、博物館が推進協議会のメンバーに入り、学術的な面や教育の面からジオパークを支援しているものの、博物館独自にジオパーク内の各地で活動している例は少ない。
今回視察調査を行ったギリシャのレスボス島ジオパークおよびプシロリティスジオパークでは、いずれも博物館および大学が行政や地域の団体と連携してジオパークを運営している。ジオパークの中で博物館の役割は大きく、博物館がジオパークを中心的に牽引している点は、日本のジオパークでの博物館の関わり方と大きく異なる。この傾向は大学も同様である。ヨーロッパのいくつかのジオパークでは、特に防災教育に関して共通の教材を作成し、展示を行う“RACCE (Raising earthquake Awareness and Coping Children’s Emotions)”と呼ばれる教育プログラムが成り立つのも、その活動の中心に博物館が存在することが大きい。日本の場合、ジオパーク内に大規模な博物館が存在するところが少ないなど、ヨーロッパとは異なる情勢がありそのまま比較はできないが、参考にすべき点は多いであろう。
現在の日本の状況で、これまでのような学芸員を多く配した大規模な博物館を設置することは困難である。小規模な学習施設の連携やエコミュージアムの構想は考えるに値すると推察されるが、それらがジオパークの運営の中心的役割を果たすことが重要であろう。
伊藤(1991)は博物館の時代的変遷をまとめ、その中で日本の博物館を、
・第1世代:国宝や天然記念物など、希少価値をもつ資料(宝物)を中心に、その保存を運営の軸とする古典的博物館
・第2世代:資料を収集し、その公開と普及を運営の軸と博物館
・第3世代:社会の要請にもとづいて、必要な資料を見出し、市民の参加・体験を運営の軸とする博物館
に区分した。
その後、近年の博物館の活動は多様化し、博物岸から一方的に提供する展示や学習プログラムではなく、市民が自発的にそれらを利用し、博物館を科学的交流の場として使用するようになってきている。また、博物館自体も各地へ出向き、地域の人たちと一体になって進めるプログラムを展開している。それらに加えて自然環境の保護・保全や活用に関するシンクタンクとしての役割も強くなっている。さらに、特定の箱モノにこだわらないエコミュージアムも各地で展開されるようになっている。
ジオパークの活動には多かれ少なかれ博物館や学習施設がかかわっている。世界ジオパークネットワークのガイドラインでは、特に教育に関する項で、ジオパークが地域に地球科学や環境・文化に関する知識を伝えるための手段の一つとして博物館や学習施設の活用があげられている。ここでの博物館に期待されているのは主として展示の提供と、学習プログラムの提供のようである。また、ユネスコのホームページでは、「ジオパークは博物館ではなく様々なレベルの人が科学に関わる活動的な実験室のような場所」であると述べられている(http://www.unesco.org/new/en/natural-sciences/environment/earth-sciences/global-geoparks/some-questions-about-geoparks/geopark-and/science/)。この場合の博物館に対するイメージは、前後の文脈から判断して、展示物を静かに鑑賞するところと判断される。
一方、日本のジオパークに目を向けた場合、多くが展示室内にジオパークコーナーを設置しているのみで、博物館が積極的にジオパーク内で活動している例は少ない。またいくつかのジオパークでは、博物館が推進協議会のメンバーに入り、学術的な面や教育の面からジオパークを支援しているものの、博物館独自にジオパーク内の各地で活動している例は少ない。
今回視察調査を行ったギリシャのレスボス島ジオパークおよびプシロリティスジオパークでは、いずれも博物館および大学が行政や地域の団体と連携してジオパークを運営している。ジオパークの中で博物館の役割は大きく、博物館がジオパークを中心的に牽引している点は、日本のジオパークでの博物館の関わり方と大きく異なる。この傾向は大学も同様である。ヨーロッパのいくつかのジオパークでは、特に防災教育に関して共通の教材を作成し、展示を行う“RACCE (Raising earthquake Awareness and Coping Children’s Emotions)”と呼ばれる教育プログラムが成り立つのも、その活動の中心に博物館が存在することが大きい。日本の場合、ジオパーク内に大規模な博物館が存在するところが少ないなど、ヨーロッパとは異なる情勢がありそのまま比較はできないが、参考にすべき点は多いであろう。
現在の日本の状況で、これまでのような学芸員を多く配した大規模な博物館を設置することは困難である。小規模な学習施設の連携やエコミュージアムの構想は考えるに値すると推察されるが、それらがジオパークの運営の中心的役割を果たすことが重要であろう。