日本地球惑星科学連合2015年大会

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[O-05] Future Earth構想と地学教育および地理教育との連携を考える

2015年5月24日(日) 15:45 〜 18:00 104 (1F)

コンビーナ:*宮嶋 敏(埼玉県立深谷第一高等学校)、秋本 弘章(獨協大学経済学部)、井田 仁康(筑波大学人間系)、座長:秋本 弘章(獨協大学経済学部)、畠山 正恒(聖光学院中学高等学校)、宮嶋 敏(埼玉県立深谷第一高等学校)

15:45 〜 16:10

[O05-04] 高校教育における地理科目の必履修化に向けて

*浅川 俊夫1 (1.埼玉県立浦和第一女子高等学校)

キーワード:高校教育, 新しい地理科目, 学習指導要領, 必修科目化

多発する自然災害やグローバル化の進展、地域社会の衰退といった状況の中で、地理教育の重要性が高まっている。
その一方で、過去20年余にわたり、高校の地理・歴史科では、世界史のみが必履修科目として位置付けられ、選択履修科目とされた地理は、現在でも約半数の生徒が履修しているに過ぎない。
2006年秋には世界史の「未履修問題」が全国の高校で表面化して、地理・歴史科の科目や履修の在り方に課題があることが明らかになり、今日までそれらをめぐる議論が続いている。
 そうした流れの中で、日本学術会議高校地理歴史科教育に関する分科会は、2011年8月に、高校地理歴史科教育の現状と問題点の分析および改革案を盛り込んだ提言「新しい高校地理・歴史教育の創造-グローバル化に対応した時空間認識の育成-」を発表した。
提言は、高校地理教育の問題点として、地理が必履修科目でないことの弊害と、従来の知識中心の教授に替わる地図・空間情報を利活用できるスキル育成の重要性などを指摘し、
その改革案として、新科目を創設し、同時に創設される新しい歴史科目とともに必履修化することを謳っている。さらには、研究者と教育現場の教師が共同して作成した新しい地理科目「地理基礎」を例示している。
Ⅰ.現代世界の特質と課題
1.地球スケールでとらえる現代社会 2.世界の諸地域の多様な自然と文化 3.世界の経済・社会とさまざまな課題
Ⅱ.地域の特性を活かした町づくり
1.地域社会の特質 2.地域の中の地理的な諸課題と地域調査
提言をうけ、次期学習指導要領での地理科目必履修化に向けて、これまで、二つの学校で「地理基礎」に関する実証的な研究が進められている。
2011年度から2013年度まで研究に取り組んだ日本橋女学館高校では、(1)地域調査などの学習の年間指導計画への位置付け、(2)教師の指導能力の向上、(3)町づくりなどの探究学習に対する評価の視点や方法、(4)地誌的学習の要素の取り入れ方といった課題が明らかになった。2013年度からは、これらを引き継ぎつつ、神戸大学附属中等教育学校で研究が続けられている。