日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

インターナショナルセッション(口頭発表)

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS01] Exploring our limits in understanding earthquakes and improving our knowledge -CSEP Experiment in Japan-

2015年5月24日(日) 16:15 〜 18:00 102B (1F)

コンビーナ:*鶴岡 弘(東京大学地震研究所)、Danijel Schorlemmer(GFZ German Research Centre for Geosciences)、平田 直(東京大学地震研究所)、座長:庄 建倉(統計数理研究所)、石辺 岳男(東京大学地震研究所)

16:30 〜 16:45

[SSS01-09] 地震発生回数の頻度分布

*山科 健一郎1鶴岡 弘2姫野 哲人3 (1.元東京大学地震研究所、2.東京大学地震研究所、3.成蹊大学)

キーワード:頻度分布, 地震発生回数, CSEP

前震や余震があることからも明らかなように,地震活動には,互いに相関のある活動が含まれる.そのため,地震数の頻度分布をポアソン分布で表すことは難しいと思われるが,実態に近い分布関数について検討した.これは,地震活動の一面を理解する上で必要なことであり,また,正しい頻度分布がわかっていないと適確な予測の評価を行うことができない.
地震数の頻度分布は,これまでしばしば負の2項分布で表されてきた.しかしそれは,概してデータセットの平均rが大きい場合(例えば r>>1 )であり,希にしか地震が起こらないデータセットについては,疑問に思われる.小さな平均の場合,分布は負のべき分布に近い.そこで筆者らは先に,地震発生頻度の分布関数として,離散ガンマ分布を提案した( f(x) = c (x^-a) exp(-bx): Yamashina et. al, 2012).一方,もうひとつの候補として,ここでは負の離散ガンマ分布を取り上げる( f(x) = c (x^-a) exp(-b/x) ).両関数は,大きな平均をもつデータセットから小さな平均のものまで,広い範囲でかなりよく実際の分布事例に当てはめることができるが,特に大きな平均をもつ場合について,後者の方が当てはまりがよい傾向がある.
ここで取り上げた関数は,aが正のときにはx=0で発散するが,x=1以上について適用する.これは,例えばx=2の頻度はx=1の頻度と関係するものの,x=0の頻度との相関は小さいと思われ,x=0,1,2を同じ分布関数で表現することは難しいと考えられたからである.x=0の頻度は,他の頻度を合計した残りとする.
CSEPプロジェクトの地震活動予測において,予測値がどのくらい実状に合っていたかどうかを評価する際,現在は,地震発生回数の頻度がポアソン分布だとみなして行っている.しかし,実態を必ずしも反映しない頻度分布を前提にしたのでは,評価した結果に疑問を残す.今後,実態に合う頻度分布を評価に取り入れたときにどのような違いが生じるかなど,確かめることが望まれる.