17:30 〜 17:45
[HDS27-23] 確率論的津波ハザード評価における評価結果の統合方法の検討
キーワード:津波, ハザード評価, 確率
確率論的津波ハザード評価では、様々な種類の地震によって生じる津波の危険性を評価するため、複数の波源モデル群を構築して数値シミュレーションにより津波水位を推定している。各波源モデルには、長期評価や過去の地震活動のデータを基にして発生確率を与え、これにより超過確率分布(以下、ハザードカーブ)が算定される。最後に全波源モデルのハザードカーブ群を統合することで、全ての想定しうる地震による評価結果が得られる。本研究では、「全国を対象とした津波ハザード評価」におけるハザードカーブ群の統合の考え方と「東北地方太平洋沖型の地震」を対象としたハザードカーブ算定の実施例について紹介し、各波源モデルに与える「重み」設定の妥当性について議論する。
「全国を対象とした津波ハザード評価」では、東北地方太平洋沖型の地震についての長期評価結果を基にし、地震のマグニチュードや、震源域の位置、すべり不均質性の不確実性を考慮して106個の波源モデルを設定している。ハザード評価結果を統合する際には、波源モデル群に対して重みを設定して津波水位の確率密度分布を算出し、これに地震の発生確率をかけて超過確率を求める。ここで、得られる確率密度分布の形状は重みの設定方針に大きく依存しているため、重み設定の妥当性の検討が重要となる。
本研究では、まず重み設定の方針として、「マグニチュードの不確実性について、重みはb値0.9のGR則に従う」、「震源位置の不確実性について、重みは一様分布に従う」、「すべり不均質性について、重みは一様分布に従う」としたものを基本モデルとした。そして、日本海溝に面した沿岸一帯の確率密度分布を求め、その平均値および平均値+1σの値と2011年東北地方太平洋沖地震の津波痕跡値との比較を行った。その結果、津波痕跡値の多くは平均値+1σよりも大きい値となっており、基本モデルが過小評価となっていることが示唆された。次に、検討用モデルとして、「2011年東北地方太平洋沖地震と同等のMw9.1の地震にのみ重みを与える」としたモデル1、「海溝軸付近に平均の4倍のすべり量のある地震にのみ重みを与える」としたモデル2、モデル1と2の条件を共に満たすこととしたモデル3について、確率密度分布を求め津波痕跡値との比較を行った。その結果、モデル1~3の平均値および平均値+1σの値は基本モデルよりも大きくなり、多くの津波痕跡値を平均値+1σの範囲内で説明できることが分かった。
本研究は、防災科研において進められている「全国を対象とした津波ハザード評価」の一環として実施された。
「全国を対象とした津波ハザード評価」では、東北地方太平洋沖型の地震についての長期評価結果を基にし、地震のマグニチュードや、震源域の位置、すべり不均質性の不確実性を考慮して106個の波源モデルを設定している。ハザード評価結果を統合する際には、波源モデル群に対して重みを設定して津波水位の確率密度分布を算出し、これに地震の発生確率をかけて超過確率を求める。ここで、得られる確率密度分布の形状は重みの設定方針に大きく依存しているため、重み設定の妥当性の検討が重要となる。
本研究では、まず重み設定の方針として、「マグニチュードの不確実性について、重みはb値0.9のGR則に従う」、「震源位置の不確実性について、重みは一様分布に従う」、「すべり不均質性について、重みは一様分布に従う」としたものを基本モデルとした。そして、日本海溝に面した沿岸一帯の確率密度分布を求め、その平均値および平均値+1σの値と2011年東北地方太平洋沖地震の津波痕跡値との比較を行った。その結果、津波痕跡値の多くは平均値+1σよりも大きい値となっており、基本モデルが過小評価となっていることが示唆された。次に、検討用モデルとして、「2011年東北地方太平洋沖地震と同等のMw9.1の地震にのみ重みを与える」としたモデル1、「海溝軸付近に平均の4倍のすべり量のある地震にのみ重みを与える」としたモデル2、モデル1と2の条件を共に満たすこととしたモデル3について、確率密度分布を求め津波痕跡値との比較を行った。その結果、モデル1~3の平均値および平均値+1σの値は基本モデルよりも大きくなり、多くの津波痕跡値を平均値+1σの範囲内で説明できることが分かった。
本研究は、防災科研において進められている「全国を対象とした津波ハザード評価」の一環として実施された。