日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-TT 計測技術・研究手法

[H-TT32] 地理情報システム

2015年5月26日(火) 11:00 〜 12:45 203 (2F)

コンビーナ:*小口 高(東京大学空間情報科学研究センター)、村山 祐司(筑波大学大学院生命環境科学研究科地球環境科学専攻)、柴崎 亮介(東京大学空間情報科学研究センター)、吉川 眞(大阪工業大学工学部)、座長:吉川 眞(大阪工業大学工学部)、小荒井 衛(国土交通大学校測量部)

11:00 〜 11:15

[HTT32-01] 測量、地形学、GISの相互関係に関する歴史的考察

*小口 高1 (1.東京大学・空間情報科学研究センター)

キーワード:測量, 地形学, GIS

測量と地形学は、ともに地表の形状を扱うために共通点が多いが、両者の関係は時代とともに変化してきた。19世紀以前には測量で作成された地図に等高線が入っている例が少なく、地形学への応用は限られていた。しかし20世紀初頭に航空写真測量の手法が確立されると、等高線を含む地形図が普及し、図上の作業で地形を数量的に分析する「地形計測」と呼ばれる分野が発展した。1960年代以降は地形学へのコンピュータの導入が進み、デジタル標高モデル(DEM)が使われるようになり、それとGISを組み合わせることにより地形計測の自動化が進んだ。
地図の等高線や数十m解像度のDEMを地形計測に用いていた20世紀には、地形学者自身はあまり測量を行わず、特定の場所を詳しく調べる際にのみ現地で地上測量を行うのが一般的であった。一方、20世紀末から現在にかけて、デジタル写真測量や地上レーザー測量の手法が発展・普及すると、これらの測量を行うための機器と技術を持ち、作成された高解像度のDEMを用いてユニークな研究を行う研究者が増えた。最近はUAV(無人航空機)や、簡便な写真測量法であるSfMの普及により、このような研究者がさらに増えつつある。換言すれば、ともに地表を対象とする測量と地形学が、最近は以前にも増して関係を強め、同化すらしてきたとみなされる。
本発表では上記のような歴史的経緯と、それを踏まえた将来展望を述べる。