11:45 〜 12:00
[ACG33-10] 地下ダム構造物による海域へ湧出する地下水の影響把握のための地下水流動モデルの適用
キーワード:地下ダム, 地下水流動, 洞窟流れ, PEST, 海底湧水
沖縄本島南部地域では、地下ダムの建造と、地下ダムにより石灰岩帯水層に貯留された地下水の農業利用が行われており、流域の地下水水質が変化することが予想される。流域海岸部では、地下水が海域に湧水として湧出しているため、地下ダム建造・営農による地下水の水質変動は、サンゴ礁などの海域生態系にも影響を及ぼす可能性があるため、この影響を把握する必要がある。
一方で、地下ダム流域(米須地下ダム流域)は、①石灰岩地質で透水性が高い、②断層が多くある複雑な地形構造で、急勾配な場所が多くある、③連続した洞窟があり、場所によって地下水の流速が速い場所があるなどの特徴を有しており、流れの構造は非常に複雑となっていることが考えられる。また、既往の水質調査結果などから、場所によって地下水の滞留域があり、そのような場所で脱窒による窒素の除去が行われている可能性も示唆され、その証拠となる脱窒菌の存在も確認されている。本研究の対象とする地下ダム流域は、複雑な流れが水質の分布状況・物質収支に密接に係る水域である可能性が高い。
本研究では、地下ダムの運用に伴って、地下水の水質がどのように変動していくかを把握し、海域環境とのかかわりの中で地下ダムとその流域全体の営農運用の計画に資するための物質循環を再現・将来予測できるシミュレーションモデルの構築を目的としている。脱窒作用などの物質収支の機構を再現するには、まず地下ダム流域の複雑な流れの構造を把握することが重要である。本報告の中では、断層・洞窟を含む複雑な地形での地下水の流動シミュレーションを行うため、MODFLOW-USGを実地形・実条件に適用する試みと結果の一部を報告する。
MODFLOW-2005などの一般的な飽和地下水モデルでは、急こう配な地形において、流れが分断されてしまうなど、不自然な計算結果になってしまうことがあり、格子サイズやパラメータ等を慎重に選定する必要があり、オペレーションが難しい。本報告では、急こう配な地形であっても、ある程度粗い格子設定でも安定に自然な自由水面が計算できるMODFLOW-USGを用いている。また、洞窟構造は、①水位の実測データとパラメータの逆推定ツールであるPESTを用いて、透水係数の空間的な分布を表現するアプローチと平行して、②地下水流れと洞窟流れをフルカップリングしているMODFLOW-USGを用いた計算を実施した。PESTを用いたパラメータ推定の結果から、洞窟があるとされている場所に連続的に透水係数が高い格子が出現することを確認できた。洞窟構造を透水係数の調整により疑似的に表現した場合と、実際に洞窟構造を表現した場合の非定常な流れの差異がどのように出るのかを確認した。
一方で、地下ダム流域(米須地下ダム流域)は、①石灰岩地質で透水性が高い、②断層が多くある複雑な地形構造で、急勾配な場所が多くある、③連続した洞窟があり、場所によって地下水の流速が速い場所があるなどの特徴を有しており、流れの構造は非常に複雑となっていることが考えられる。また、既往の水質調査結果などから、場所によって地下水の滞留域があり、そのような場所で脱窒による窒素の除去が行われている可能性も示唆され、その証拠となる脱窒菌の存在も確認されている。本研究の対象とする地下ダム流域は、複雑な流れが水質の分布状況・物質収支に密接に係る水域である可能性が高い。
本研究では、地下ダムの運用に伴って、地下水の水質がどのように変動していくかを把握し、海域環境とのかかわりの中で地下ダムとその流域全体の営農運用の計画に資するための物質循環を再現・将来予測できるシミュレーションモデルの構築を目的としている。脱窒作用などの物質収支の機構を再現するには、まず地下ダム流域の複雑な流れの構造を把握することが重要である。本報告の中では、断層・洞窟を含む複雑な地形での地下水の流動シミュレーションを行うため、MODFLOW-USGを実地形・実条件に適用する試みと結果の一部を報告する。
MODFLOW-2005などの一般的な飽和地下水モデルでは、急こう配な地形において、流れが分断されてしまうなど、不自然な計算結果になってしまうことがあり、格子サイズやパラメータ等を慎重に選定する必要があり、オペレーションが難しい。本報告では、急こう配な地形であっても、ある程度粗い格子設定でも安定に自然な自由水面が計算できるMODFLOW-USGを用いている。また、洞窟構造は、①水位の実測データとパラメータの逆推定ツールであるPESTを用いて、透水係数の空間的な分布を表現するアプローチと平行して、②地下水流れと洞窟流れをフルカップリングしているMODFLOW-USGを用いた計算を実施した。PESTを用いたパラメータ推定の結果から、洞窟があるとされている場所に連続的に透水係数が高い格子が出現することを確認できた。洞窟構造を透水係数の調整により疑似的に表現した場合と、実際に洞窟構造を表現した場合の非定常な流れの差異がどのように出るのかを確認した。