日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-GM 地形学

[H-GM22] 地形

2015年5月26日(火) 15:15 〜 16:00 101B (1F)

コンビーナ:*島津 弘(立正大学地球環境科学部地理学科)、小口 千明(埼玉大学大学院理工学研究科)、瀬戸 真之(福島大学うつくしま福島未来支援センター)、座長:若狭 幸(秋田大学国際資源学部)

15:45 〜 16:00

[HGM22-03] 高等学校地理Bにおける地形学学習の限界

*青木 邦勲1 (1.日本大学豊山高等学校・中学校)

キーワード:地形学, 地理学, 地理B

本校では昨年度から実施しているカリキュラムにおいて、地理Bを3年間で最大12単位履修できることになったため、今までよりも自然地理学の学習に重点を置いて授業を行っている。しかし、地理学で扱う地形学と地学で扱う地形学は視点が異なるせいか、地理の地形学や鉱工業の分野において説明に限界が生じている。

 今回の発表では、本校における地形学の学習内容について紹介する。そして、先生方にアドバイスを頂きたい。

 私個人が考えていることは、地形学の内容を増やすことで、地理全体の理解が深まると考えている。教科書に載っていることだけを扱うのではなく、事実を説明する理由を扱うことを重要視している。そのため、現状では、下記の問題が生じている。

1.海嶺や海溝の分布を暗記しようとしている生徒がいるが、「地殻熱流量」の話をすれば理屈が把握できると考えている。

2.地殻変動を「プレートテクトニクス」のみで説明するため、テクトニクス理論全体を触れないことから、熱対流など詳細な部分において説明に限界が生じる。

3.マグマの発生過程については触れられないため、火山の類型のみで終わってしまう。もちろん、火山活動における噴火様式や火山噴出物も触れないので、産出される鉱物の話ができない。よって、産出される資源の理由が説明できない。

4.褶曲や断層は、存在していることだけしか触れず、リニアメントという言葉も教科書には存在しないため、褶曲や断層を学習する意義が不明確になる。

5.各地質時代における自然環境を概観する学習が必要である。これが資源の産出や現在の自然環境を反映していることを学ぶ。

 学習指導要領の制約がある都合上、自由に内容を編成して授業を行うことは難しいが、地形学を学ぶことは地理学を学ぶ入口であるため、地形学を重要視した教育方法や教育内容を伺いたい。