11:30 〜 11:45
[SSS28-14] 三浦半島断層群および鴨川低地断層帯海域延長部における海底活断層調査
キーワード:三浦半島断層群, 鴨川低地断層帯, 海底活断層調査, 高分解能マルチチャンネル反射法地震探査, 海域延長部, 活構造
文部科学省委託「沿岸海域における活断層調査」の一環として,三浦半島断層群海域延長部および鴨川低地断層帯海域延長部における断層の分布,活動性を明らかにすることを目的として海底活断層調査を実施した.本講演では,このうち断層の分布について報告する.
<これまでの陸域における調査結果>
三浦半島断層群は,主部と南部から構成されており,いずれも右横ずれが卓越する断層帯である. さらに,断層群主部は,ほぼ西北西-東南東方向に並走する北側の衣笠・北武断層帯と南側の武山断層帯に細分される.確認されている長さは主部の衣笠・北武断層帯で約14km,武山断層帯で約11km,断層群南部で約6kmである.主部,衣笠・北武断層帯の最新活動時期は,6-7世紀であったと考えられ,平均的な活動間隔は概ね1千9百年-4千9百年程度であった可能性がある.武山断層帯の最新活動時期は,概ね2千3百年前以後,1千9百年前以前であったと考えられ,その平均的な活動間隔は1千6百年-1千9百年程度であったと推定される.断層帯南部の最新活動時期は,約2万6千年前以後,約2万2千年前以前であったと推定される.
鴨川低地断層帯は,房総半島南部の千葉県鴨川市から南房総市富山にかけてほぼ東西に延びる鴨川地溝帯南断層,及び,本断層と併走する複数の小断層からなる.断層の長さは約25kmで,断層の南側が北側に対して相対的に隆起する断層帯である.過去の活動に関する資料が乏しく,具体的な活動履歴は不明である.
<本調査の概要と現時点における調査結果>
両断層帯の海域延長部では,千葉大学,電力中央研究所,海上保安庁海洋情報部,産業技術総合研究所が反射法地震探査を実施している.本研究においては,これらの成果を参照しつつ,鴨川低地断層帯海域延長部の鴨川沖(外房側),保田沖(東京湾側),三浦半島断層群海域延長部の金田沖(東京湾側),葉山沖(相模湾側)において,活構造の分布,性状,陸域部との連続性,海域端部の位置を確認するため,ブーマーを音源とするマルチチャンネル音波探査を実施した.また,柱状採泥点を選定するためSES2000を用いた高分解能音波探査を実施し,柱状採泥試料から得られる地層形成年代と合わせて,完新世における活動履歴の解明を試みた.
鴨川沖の保田層群と三浦層群(より上位の地層)との境界は,反射記録断面上は海底面に変位を伴う断層として認識された.この断層は陸域部に分布する鴨川低地断層帯の直接的な延長部にはあたらないものの,陸域に近づくに従って海底面の撓みとなりつつ雁行状に連続している.一方,保田沖の海底には海底谷が発達しているが、累積を伴った顕著な活構造としては認識されない.
金田沖,葉山沖においては、三浦半島を横断する葉山層の隆起帯の延長部が最も顕著な地質構造として認識される.その南側の縁付近が三浦半島断層群武山断層帯の海域延長部にあたり,深部には地層のキンクも認識される.また衣笠・北武断層帯の海域延長部には隆起帯を形成する葉山層内部に複数の断層が認識される.
<これまでの陸域における調査結果>
三浦半島断層群は,主部と南部から構成されており,いずれも右横ずれが卓越する断層帯である. さらに,断層群主部は,ほぼ西北西-東南東方向に並走する北側の衣笠・北武断層帯と南側の武山断層帯に細分される.確認されている長さは主部の衣笠・北武断層帯で約14km,武山断層帯で約11km,断層群南部で約6kmである.主部,衣笠・北武断層帯の最新活動時期は,6-7世紀であったと考えられ,平均的な活動間隔は概ね1千9百年-4千9百年程度であった可能性がある.武山断層帯の最新活動時期は,概ね2千3百年前以後,1千9百年前以前であったと考えられ,その平均的な活動間隔は1千6百年-1千9百年程度であったと推定される.断層帯南部の最新活動時期は,約2万6千年前以後,約2万2千年前以前であったと推定される.
鴨川低地断層帯は,房総半島南部の千葉県鴨川市から南房総市富山にかけてほぼ東西に延びる鴨川地溝帯南断層,及び,本断層と併走する複数の小断層からなる.断層の長さは約25kmで,断層の南側が北側に対して相対的に隆起する断層帯である.過去の活動に関する資料が乏しく,具体的な活動履歴は不明である.
<本調査の概要と現時点における調査結果>
両断層帯の海域延長部では,千葉大学,電力中央研究所,海上保安庁海洋情報部,産業技術総合研究所が反射法地震探査を実施している.本研究においては,これらの成果を参照しつつ,鴨川低地断層帯海域延長部の鴨川沖(外房側),保田沖(東京湾側),三浦半島断層群海域延長部の金田沖(東京湾側),葉山沖(相模湾側)において,活構造の分布,性状,陸域部との連続性,海域端部の位置を確認するため,ブーマーを音源とするマルチチャンネル音波探査を実施した.また,柱状採泥点を選定するためSES2000を用いた高分解能音波探査を実施し,柱状採泥試料から得られる地層形成年代と合わせて,完新世における活動履歴の解明を試みた.
鴨川沖の保田層群と三浦層群(より上位の地層)との境界は,反射記録断面上は海底面に変位を伴う断層として認識された.この断層は陸域部に分布する鴨川低地断層帯の直接的な延長部にはあたらないものの,陸域に近づくに従って海底面の撓みとなりつつ雁行状に連続している.一方,保田沖の海底には海底谷が発達しているが、累積を伴った顕著な活構造としては認識されない.
金田沖,葉山沖においては、三浦半島を横断する葉山層の隆起帯の延長部が最も顕著な地質構造として認識される.その南側の縁付近が三浦半島断層群武山断層帯の海域延長部にあたり,深部には地層のキンクも認識される.また衣笠・北武断層帯の海域延長部には隆起帯を形成する葉山層内部に複数の断層が認識される.