09:30 〜 09:45
[G03-03] 地域リスクを取り込んだ実効的防災教育
キーワード:地震, 防災, 中学校, 教育, 災害
東日本大震災以降,学校現場における防災教育の重要性が指摘されている.しかし実際には,形骸化した避難訓練や,理科の授業での地震・津波のメカニズムの説明等に終始し,震災以前と大差のない防災教育が多くの学校で実施されている.そこで本研究では,防災教育を行うにあたって教員にとって障壁となっているものをまず調査し,それに基づいて防災教育教材を作成して中学校で出前授業を行った.さらに,授業実施前後で生徒たちにどのような変化が見られたかを調査して,教材の効果を確かめた.
研究対象とした中学校のすべての教員に,防災教育を実施するにあたって障壁となっているものについて,以下の13の要因を「非常にそう思う/強くそう思う/そう思う/あまりそう思わない/まったく思わない/わからない」からひとつ選択して評価してもらった.
要因:1)やり方がわからない,2)ワークシートがない,3)時間数が足りない,4)予算が足りない,5)地域の特徴がわからない,6)被災しうるという実感がない,7)授業の準備が大変,8)必然性を感じられない,9)教職員の理解が得られない,10)保護者の理解が得られない,11)地域の理解が得られない,12)生徒の意識が低い,13)避難訓練で十分,14)その他(自由記述).
結果は,1)やり方がわからない,3)時間数が足りない,4)予算が足りない,5)地域の特徴がわからない,6)被災しうるという実感がない,7)授業準備が大変,12)生徒の意識が低い,の7つの項目について「非常にそう思う/強くそう思う/そう思う」の回答が多かった.また,13)避難訓練で十分,8)必然性を感じられない,については「まったく思わない/あまりそう思わない」が大多数を占めていた.これらのことから,現場の教員は防災教育の必要性を理解した上で,上述の7つの理由などから実施が困難となっていることがうかがえる.
そこで,地域の特徴を踏まえた災害をテーマに,生徒たちが主体的に取り組めるような構成の,1校時でできる防災教材を作成した.具体的には,研究対象の中学校近くに位置する活断層で地震が発生したという想定で,避難所に届いた支援物資が避難者数よりも少ない時にどう分配するかをグループで話し合って決める,というものである.地震の被害想定は自治体が公表しているものを使用し,避難所での様子については4コマ漫画教材(齋藤・大木,2014)を活用した.
授業では中学生が活発に議論を行い,最終発表では指名せずとも自ら進んで手を挙げて意見を述べていた.実際,中学生らの感想には「あらゆる状況を想定した備えをしておくことが大切だと思った.今日学んだことを生活していく上で心に留めて,いざというときに役立てていきたい.」「地震が起きたらどうしたらいいかについてはよく考えるけど,生きのびた後のことについてはあまり考えなかったので良い機会だった.避難所で自分には何ができるのかを考えさせられた.」などとあり,災害が自分たちの地域で発生しうるということや,その際は自分たちも活躍できるということなどを感じ取っていることがわかる.
さらに,授業の2ヶ月後に,避難所の運営は誰が行うと思うかや,災害対策について家族や友人と話したか,実際に行動したか等を問う追跡調査を行った.本発表ではこの追跡調査の結果をふまえつつ,現場の教員が実施可能な防災授業について詳説する.
研究対象とした中学校のすべての教員に,防災教育を実施するにあたって障壁となっているものについて,以下の13の要因を「非常にそう思う/強くそう思う/そう思う/あまりそう思わない/まったく思わない/わからない」からひとつ選択して評価してもらった.
要因:1)やり方がわからない,2)ワークシートがない,3)時間数が足りない,4)予算が足りない,5)地域の特徴がわからない,6)被災しうるという実感がない,7)授業の準備が大変,8)必然性を感じられない,9)教職員の理解が得られない,10)保護者の理解が得られない,11)地域の理解が得られない,12)生徒の意識が低い,13)避難訓練で十分,14)その他(自由記述).
結果は,1)やり方がわからない,3)時間数が足りない,4)予算が足りない,5)地域の特徴がわからない,6)被災しうるという実感がない,7)授業準備が大変,12)生徒の意識が低い,の7つの項目について「非常にそう思う/強くそう思う/そう思う」の回答が多かった.また,13)避難訓練で十分,8)必然性を感じられない,については「まったく思わない/あまりそう思わない」が大多数を占めていた.これらのことから,現場の教員は防災教育の必要性を理解した上で,上述の7つの理由などから実施が困難となっていることがうかがえる.
そこで,地域の特徴を踏まえた災害をテーマに,生徒たちが主体的に取り組めるような構成の,1校時でできる防災教材を作成した.具体的には,研究対象の中学校近くに位置する活断層で地震が発生したという想定で,避難所に届いた支援物資が避難者数よりも少ない時にどう分配するかをグループで話し合って決める,というものである.地震の被害想定は自治体が公表しているものを使用し,避難所での様子については4コマ漫画教材(齋藤・大木,2014)を活用した.
授業では中学生が活発に議論を行い,最終発表では指名せずとも自ら進んで手を挙げて意見を述べていた.実際,中学生らの感想には「あらゆる状況を想定した備えをしておくことが大切だと思った.今日学んだことを生活していく上で心に留めて,いざというときに役立てていきたい.」「地震が起きたらどうしたらいいかについてはよく考えるけど,生きのびた後のことについてはあまり考えなかったので良い機会だった.避難所で自分には何ができるのかを考えさせられた.」などとあり,災害が自分たちの地域で発生しうるということや,その際は自分たちも活躍できるということなどを感じ取っていることがわかる.
さらに,授業の2ヶ月後に,避難所の運営は誰が行うと思うかや,災害対策について家族や友人と話したか,実際に行動したか等を問う追跡調査を行った.本発表ではこの追跡調査の結果をふまえつつ,現場の教員が実施可能な防災授業について詳説する.