日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

インターナショナルセッション(口頭発表)

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-EM 太陽地球系科学・宇宙電磁気学・宇宙環境

[P-EM09] Dynamics in magnetosphere and ionosphere

2015年5月28日(木) 11:00 〜 11:45 302 (3F)

コンビーナ:*中野 慎也(情報・システム研究機構 統計数理研究所)、三好 由純(名古屋大学太陽地球環境研究所)、長谷川 洋(宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所)、田中 良昌(国立極地研究所)、堀 智昭(名古屋大学太陽地球環境研究所 ジオスペース研究センター)、座長:三好 由純(名古屋大学太陽地球環境研究所)

11:00 〜 11:15

[PEM09-22] 接近する2つのフローフロント間におけるイオン加速: 磁気圏尾部での高エネルギーイオン生成への応用

*内野 宏俊1町田 忍2家田 章正2今田 晋亮2 (1.京都大学大学院理学研究科、2.名古屋大学太陽地球環境研究所)

キーワード:磁気圏尾部, 高エネルギーイオン, サブストーム

磁気圏擾乱時の磁気圏尾部において、まれに1MeVに近い高エネルギーイオン が観測されることがある。しかしながら、磁気圏尾部のフローの朝夕方向のスケールの制約のために、フロー内の電場ではそのような高エネルギー粒子を生成できない。我々は、そのような朝夕方向スケールの制限がある場合においても、接近する2つのExBドリフトをするフローフロントを仮定すれば、その間で理想的な軌道を描きながら繰り返し反射されるイオンは、そのフロー内の夕向き電場とフローの朝夕スケールから計算される最高エネルギーを超えたエネルギーまで加速されうることを提案する。
今回は、ExBドリフトする2つの接近するフローを仮定し、その電磁場中のイオンの運動を解く空間1次元・速度2次元のテスト粒子シミュレーション行い、加速による高エネルギー粒子の生成とエネルギー分布の変化を調べた。その結果、磁気圏尾部の朝夕方向スケールより小さなスケールで、1MeVに近いエネルギー粒子が生成されることがわかった。また、そのようなイオンの最大エネルギーや、速度分布関数の形状は、2つのフロー間の距離や朝夕方向のスケールに依存することがわかった。一方で、朝夕方向に制限を課さない場合のエネルギー分布の変化は、我々が理論的に予測したものとほぼ一致した。今回の結果は、2つの接近するフローが存在する状況下の磁気圏尾部において、磁場・電場・フロー流速、イオンの最大エネルギーおよびエネルギー分布の時間変化の観測から、2つのフロー間の距離や朝夕方向のスケールを推定できることを示すものである。