日本地球惑星科学連合2015年大会

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口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS32] 地震活動

2015年5月26日(火) 14:15 〜 16:00 A04 (アパホテル&リゾート 東京ベイ幕張)

コンビーナ:*林 能成(関西大学社会安全学部)、座長:中野 優(独立行政法人海洋研究開発機構)、千葉 慶太(防災科学技術研究所)

15:00 〜 15:15

[SSS32-04] 樽前山周辺での地震活動と応力場

*千葉 慶太1棚田 俊收1 (1.防災科学技術研究所)

キーワード:火山活動, 震源分布, 応力場, 静的応力変化

北海道の南西部、支笏カルデラ南側に位置する樽前山(1041m)はマグマ噴火や多数の水蒸気噴火など有史以降、活発な活動を繰り返してきた活火山である。近年は比較的静穏な状態が続いていたが、2013年6月下旬から7月上旬にかけて、山体北西部深部で膨張を示す地殻変動が観測され、7月上旬から8月には山体西側の深さ3~5kmを震源とする地震活動が活発化した。この一連の地震活動は1967年の観測開始以来、最も活発な活動であったと考えられている(気象庁、2013、 噴火予知連会報) 。また、2014年7月8日18:05頃には山体西側でM5.3の地震(以下、本震)が発生し、本震近傍では活発な余震活動も観測された。樽前山のマグマ供給システムを理解するためにマグマ溜まり周辺の地震活動、応力場を把握することは火山活動の理解とともに、噴火予測の高度化にもつながると期待される。
本解析では2014年7月8日の本震前後の地震活動に注目し、観測点補正を加えてhypomh法(Hirata and Matsu’ura 1987)による震源決定を行った。その結果、本震前に比較して本震後には震源分布が西側に移動する傾向(=樽前山から離れるセンス)がみられる。一方、本震前後で樽前山直下の地震活動に変化はみられなかった。また、Hardebeck and Shearer(2003)の手法を用い、初動極性とS,P波の振幅比を加えて、メカニズム解を求めた。得られたメカニズム解を用いて、Martinez et al (2014)のコードを使用し、本震前後に期間を分けて応力逆解析を行ったところ、応力場に有意な変化は認められなかった。両期間ともに最大圧縮応力軸の方向は北西-南東方向の逆断層~横ずれ型の応力場を示す。さらに、余震活動が本震に伴う応力変化の影響を受けるか否かを検証するために、レシーバ断層として得られたメカニズム解を参照にしながら∆CFSを計算した。その結果、∆CFSが負の領域でも余震が多く発生する箇所も存在しており、余震活動は必ずしも∆CFSが正の領域だけで発生しているわけではないことがわかった。
以上から、樽前山近傍での地震活動は基本的にはプレート沈み込みに伴う広域応力場のもとで発生するものの、少なからず複雑なメカニズムのもと発生していることが示唆される。また、樽前山直下での地震活動に大きな変化はみられないことから、2014年の本震による樽前山での火山活動への影響は少ないと考えられる。