17:00 〜 17:15
[SCG58-14] 東松浦玄武岩中のラブドフェン族鉱物(含水希土類リン酸塩鉱物)の新しい産状とその鉱物学的性質
キーワード：ラブドフェン族鉱物, イットリュウムラブドフェン, 含水リン酸塩鉱物, 東松浦玄武岩, 日ノ出松
1. 序
東松浦玄武岩は佐賀県北西部に分布するアルカリ玄武岩である。5種の新鉱物kimuraite-(Y) (Nagashima et al., 1986), kozoite-(Nd) (Miyawaki et al., 2000), kozoite-(La) (Miyawaki et al., 2003), hizenite-(Y) (Takai and Uehara, 2013) rhabdophane-(Y) (Takai and Uehara, 2012),を含む多くの希元素鉱物がこの玄武岩より報告されている特異な産地である。
Rhabdophane, (REE) PO4•H2O (REE = La, Ce, Nd, Y)は含水希土類リン酸塩鉱物である。これまでの報告では，閃長岩，アルカリ閃長岩ペグマタイトなどから monaziteなどを置換する2次鉱物としての産状である。最近は工業的利用のために多くの合成研究(例えばMesbah et al., 2014)が成されている.天然で産出しないrhabdophane も合成されている(REE = La, Ce, Pr, Nd, Sm, Gd, Tb, Dy, Y, Er, Yb, Lu)(Hikichi et al., 1989; Min et al., 2000). しかしながら，天然のrhabdophaneの産状記載は不十分である。Takai and Uehara (2012) は佐賀県玄海町日ノ出松を模式地とする新鉱物 rhabdophane-(Y) を報告したが，模式地における詳細な産状，化学組成の変化等は報告されなかった。本研究では日ノ出松および東松浦玄武岩中のrhabdophaneの産状，化学組成，分布について研究を行った。
2. 試料および分析方法
模式地の日ノ出松からは19試料(H01- H19) を採取し主に研磨薄片を製作しEDS付き走査電子顕微鏡を用いて希土類鉱物の有無を調べた。一部の試料については走査・透過電子顕微鏡を用いて微細組織の観察を行った。
3. 結果および考察
(1) 日ノ出松の希土類リン酸塩鉱物
Rhabdophane族鉱物は玄武岩の晶洞中に二つのタイプで産出する（Fig.）。一つは比較的大きな独立した球晶で直径50 μmで，非常に微細なナノサイズ六角柱の結晶からなる。2つ目は皮膜状のタイプで，直径1から10 μm の球晶が集合し晶洞壁を皮膜状に覆うものである。これらの球晶はrhabdophane-(La), rhabdophane-(Nd), rhabdophane-(Ce), rhabdophane-(Y) , xenotime-(Y) 様鉱物からなる. 一試料中でのrhabdophaneの化学組成変化は，Nd/La 比はほぼ一定で，Yの量が変化することが多い すべての試料の Nd/La 比を比べると Nd-rich タイプとLa-rich タイプに区別され，それぞれ皮膜状と球晶タイプで産出する。比較的大きな球晶と皮膜状のタイプは化学的累帯構造をしめす。
(2) 東松浦半島のRhabdophane族鉱物
東松浦半島に分布する玄武岩の多くの地点でrhabdophane族鉱物が確認された。それらの化学組成の変化は日ノ出松産で見られた変化と同様であった。また，rhabdophane-(Ce)も同様に見いだされた。それで，本地域に産するrhabdophane族鉱物は希土類元素を多く含むアルカリ玄武岩の一次鉱物で，玄武岩晶出の最後の低温熱水から生じた物であろう。
東松浦玄武岩は佐賀県北西部に分布するアルカリ玄武岩である。5種の新鉱物kimuraite-(Y) (Nagashima et al., 1986), kozoite-(Nd) (Miyawaki et al., 2000), kozoite-(La) (Miyawaki et al., 2003), hizenite-(Y) (Takai and Uehara, 2013) rhabdophane-(Y) (Takai and Uehara, 2012),を含む多くの希元素鉱物がこの玄武岩より報告されている特異な産地である。
Rhabdophane, (REE) PO4•H2O (REE = La, Ce, Nd, Y)は含水希土類リン酸塩鉱物である。これまでの報告では，閃長岩，アルカリ閃長岩ペグマタイトなどから monaziteなどを置換する2次鉱物としての産状である。最近は工業的利用のために多くの合成研究(例えばMesbah et al., 2014)が成されている.天然で産出しないrhabdophane も合成されている(REE = La, Ce, Pr, Nd, Sm, Gd, Tb, Dy, Y, Er, Yb, Lu)(Hikichi et al., 1989; Min et al., 2000). しかしながら，天然のrhabdophaneの産状記載は不十分である。Takai and Uehara (2012) は佐賀県玄海町日ノ出松を模式地とする新鉱物 rhabdophane-(Y) を報告したが，模式地における詳細な産状，化学組成の変化等は報告されなかった。本研究では日ノ出松および東松浦玄武岩中のrhabdophaneの産状，化学組成，分布について研究を行った。
2. 試料および分析方法
模式地の日ノ出松からは19試料(H01- H19) を採取し主に研磨薄片を製作しEDS付き走査電子顕微鏡を用いて希土類鉱物の有無を調べた。一部の試料については走査・透過電子顕微鏡を用いて微細組織の観察を行った。
3. 結果および考察
(1) 日ノ出松の希土類リン酸塩鉱物
Rhabdophane族鉱物は玄武岩の晶洞中に二つのタイプで産出する（Fig.）。一つは比較的大きな独立した球晶で直径50 μmで，非常に微細なナノサイズ六角柱の結晶からなる。2つ目は皮膜状のタイプで，直径1から10 μm の球晶が集合し晶洞壁を皮膜状に覆うものである。これらの球晶はrhabdophane-(La), rhabdophane-(Nd), rhabdophane-(Ce), rhabdophane-(Y) , xenotime-(Y) 様鉱物からなる. 一試料中でのrhabdophaneの化学組成変化は，Nd/La 比はほぼ一定で，Yの量が変化することが多い すべての試料の Nd/La 比を比べると Nd-rich タイプとLa-rich タイプに区別され，それぞれ皮膜状と球晶タイプで産出する。比較的大きな球晶と皮膜状のタイプは化学的累帯構造をしめす。
(2) 東松浦半島のRhabdophane族鉱物
東松浦半島に分布する玄武岩の多くの地点でrhabdophane族鉱物が確認された。それらの化学組成の変化は日ノ出松産で見られた変化と同様であった。また，rhabdophane-(Ce)も同様に見いだされた。それで，本地域に産するrhabdophane族鉱物は希土類元素を多く含むアルカリ玄武岩の一次鉱物で，玄武岩晶出の最後の低温熱水から生じた物であろう。