18:15 〜 19:30
[MIS46-P06] マンガンクラスト表層の微細成長構造と第四紀の氷期・間氷期サイクルとの対比
キーワード:鉄マンガンクラスト, 北西太平洋, 成長縞
マンガンクラスト(以下クラスト)は,海底の露岩を平板状に被覆する鉄・マンガン酸化物を主成分とした化学堆積岩であり,微細構造に長いレンジの海洋環境の変遷やイベントが記録されている可能性が指摘されている(Sorem and Foster, 1972; 臼井, 1998).一例として,北西太平洋フィリピン海プレート上に位置する正徳海山から採取されたクラスト(D96?m4)では,古地磁気層序による成長速度(Oda et al., 2011)が求められ,さらにEPMA分析の結果によるミランコビッチサイクルとの対応(小田ほか, 2013: JpGU)が指摘されている.
本研究では,上記試料について表層の微細成長構造及び化学組成に注目し,氷期・間氷期サイクルとの対比を試みた.また,北西太平洋域の複数点で採取されたクラストに関して同様の周期的な組成・構造の変化が見られないか検討した.
D96?m4試料では,枕の形を呈する差し渡し80~100 μmの枕状構造の出現頻度に応じ縞が観察される.中心部が空隙,周囲がSiを主成分とする粒子で覆われているこの構造により,試料断面において約500 μm間隔の周期性が形成されることが確認できた.また,D96?m4試料の断面に見られる互層の周期は,平均成長速度4.9 mm/m.y.を仮定すると約10万年である.これは現世~100 万年前に認められる10万年周期の氷期・間氷期サイクルとよい対応を示す.正徳海山周辺の2試料にも,不明瞭ではあるものの枕状構造の発達による10万年周期の縞が確認できるため,この縞は海峡の局地的なものではなく,正徳海山周辺の海洋・地質の周期的な変動によるものであることが示唆される.
したがって,クラストの微細成長構造は氷期・間氷期サイクルを反映する可能性を示すデータである.
本研究では,上記試料について表層の微細成長構造及び化学組成に注目し,氷期・間氷期サイクルとの対比を試みた.また,北西太平洋域の複数点で採取されたクラストに関して同様の周期的な組成・構造の変化が見られないか検討した.
D96?m4試料では,枕の形を呈する差し渡し80~100 μmの枕状構造の出現頻度に応じ縞が観察される.中心部が空隙,周囲がSiを主成分とする粒子で覆われているこの構造により,試料断面において約500 μm間隔の周期性が形成されることが確認できた.また,D96?m4試料の断面に見られる互層の周期は,平均成長速度4.9 mm/m.y.を仮定すると約10万年である.これは現世~100 万年前に認められる10万年周期の氷期・間氷期サイクルとよい対応を示す.正徳海山周辺の2試料にも,不明瞭ではあるものの枕状構造の発達による10万年周期の縞が確認できるため,この縞は海峡の局地的なものではなく,正徳海山周辺の海洋・地質の周期的な変動によるものであることが示唆される.
したがって,クラストの微細成長構造は氷期・間氷期サイクルを反映する可能性を示すデータである.