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[MIS01-07] ジオパークの世界認定を契機とした天然林の保全・ガイド活動
室戸ジオパークは、2011年に世界ジオパークネットワークへの加盟が認められた。認定を伝えるマスコミ報道では、室戸の地質遺産だけでなく、これまであまり注目されてこなかった見所も紹介されることとなった。その中でも、段の谷山(室戸市佐喜浜町)にある天然杉の巨木群は、地元の一部に人のみが知る存在であったが、世界認定を機に地元新聞社が大きく写真入りで紹介したことにより見学希望が急増した。天然杉群は、国有林内にあるため森林管理署による管理がなされていたが、佐喜浜地区住民の強い要請により2012(平成24)年10月に林野庁と室戸市の間で「保護林」として協定が結ばれ「佐喜浜躍動天然杉郷土の森」として保全活用されることとなった。2014年(平成26)年には、佐喜浜地区の住民らによる保全・ガイド活動団体「段杉会」が発足。室戸の大地の成り立ちと、山の保全保護を独自に学ぶガイド養成講座を開催するなど、地域を挙げて天然林の保全と活用に乗り出している。この動きは、ジオパークの世界認定が契機となって形になったものである。世界認定という一つの外部評価が地域住民の「気付き」に結びつき、新たな保全行動に結びついた事例として紹介する。