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[HRE28-06] CO2地中貯留が及ぼす枯渇油田の微生物生態系への影響
キーワード:CO2地中貯留, 枯渇油田, 微生物生態系, メタン生成
【目的】枯渇油田はCO2回収・貯留(CCS)技術の利用サイトとして、CO2の貯留能力や安全性、コスト面など多方面からその実用性が検討されてきた。一方で、世界中の油田にはメタン生成を伴う原油分解を主な活動とする微生物生態系が広く分布している。しかし、CO2地中貯留によるCO2濃度の増加が枯渇油田の微生物群集やメタン生成活動にどのような影響を及ぼすかは不明である。そこで今回、我々は深部地下油層環境を模擬する高温高圧培養実験を行い、油層環境のメタン生成に及ぼすCO2濃度の影響を調査した。
【方法】秋田県八橋油田から採取した油層水と原油のみを用いて、現場と同じ温度・圧力条件(55℃・5MPa)に設定した培養実験(CO2非圧入系)と、現場と同じ温度・圧力条件でCO2を圧入したCO2地中貯留環境を模擬する培養実験(CO2圧入系)を行った。また、安定同位体トレーサー実験とクローンライブラリー法やqPCR法による微生物群集構造解析を通じてメタン生成経路を調査した。
【結果】高温高圧培養実験の結果、CO2圧入系とCO2非圧入系の双方で油層水に元々含まれる酢酸の減少に伴い、メタンの生成が確認された。さらに、安定同位体トレーサー実験や微生物群集構造解析により、それぞれの培養系で酢酸からメタンが生成する反応経路を調査した結果、現場油層環境を模擬するCO2非圧入系では酢酸酸化-水素資化性メタン生成経路であったのに対し、CO2地中貯留環境を模擬するCO2圧入系では酢酸資化性メタン生成経路へと劇的に変化した。
【考察】本研究は、枯渇油田の微生物生態系がCO2濃度に対して高い頑健性を保ちつつ、CO2濃度に応じて有利なメタン生成経路を選択する柔軟性を有することを示している。
【方法】秋田県八橋油田から採取した油層水と原油のみを用いて、現場と同じ温度・圧力条件(55℃・5MPa)に設定した培養実験(CO2非圧入系)と、現場と同じ温度・圧力条件でCO2を圧入したCO2地中貯留環境を模擬する培養実験(CO2圧入系)を行った。また、安定同位体トレーサー実験とクローンライブラリー法やqPCR法による微生物群集構造解析を通じてメタン生成経路を調査した。
【結果】高温高圧培養実験の結果、CO2圧入系とCO2非圧入系の双方で油層水に元々含まれる酢酸の減少に伴い、メタンの生成が確認された。さらに、安定同位体トレーサー実験や微生物群集構造解析により、それぞれの培養系で酢酸からメタンが生成する反応経路を調査した結果、現場油層環境を模擬するCO2非圧入系では酢酸酸化-水素資化性メタン生成経路であったのに対し、CO2地中貯留環境を模擬するCO2圧入系では酢酸資化性メタン生成経路へと劇的に変化した。
【考察】本研究は、枯渇油田の微生物生態系がCO2濃度に対して高い頑健性を保ちつつ、CO2濃度に応じて有利なメタン生成経路を選択する柔軟性を有することを示している。