日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

インターナショナルセッション(口頭発表)

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-EM 太陽地球系科学・宇宙電磁気学・宇宙環境

[P-EM06] Mesosphere-Thermosphere-Ionosphere Coupling in the Earth's Atmosphere

2015年5月27日(水) 09:00 〜 10:45 A01 (アパホテル&リゾート 東京ベイ幕張)

コンビーナ:*Huixin Liu(九州大学理学研究院地球惑星科学専攻 九州大学宙空環境研究センター)、大塚 雄一(名古屋大学太陽地球環境研究所)、Libo Liu(Institute of Geology and Geophysics, Chinese Academy of Sciences)、新堀 淳樹(京都大学生存圏研究所)、座長:Huixin Liu(九州大学理学研究院地球惑星科学専攻)

09:30 〜 09:45

[PEM06-07] ポーカーフラット及びトロムソMFレーダーで観測された中間圏重力波と潮汐を含む背景場とのカップリングについて

*木下 武也1村山 泰啓1川村 誠治1野澤 悟徳2Chris Hall3 (1.情報通信研究機構、2.名古屋大学、3.The Arctic University of Norway)

キーワード:中層大気, 重力波, 潮汐波

アラスカ・ポーカーフラット及びノルウェー・トロムソに設置されたMFレーダーにより中間圏から下部熱圏における中性風速データが1990年代後半以降観測されている。本研究では10年間 (1999~2008年) の上記観測データを用いて、潮汐を含む背景場に伴う短周期重力波活動の日内変動及び夏季と冬季の特性について調べる。
 まず始めに、水平風速データから重力波と潮汐成分の抽出を行った。ここで、潮汐成分は30分平均データ5日間分からトレンドを除き、8, 12, 24時間周期の正弦波をフィッティングして振幅と位相を30分ごとに求めた。一方、1~4時間周期を持つ擾乱を短周期重力波として解析した。その結果、半日潮汐の位相に短周期重力波運動エネルギー (GW-KE) の半日周期成分の位相が約10~20日間ロックされる様子を複数の年月で確認した。その中で、2000年11~12月に観測された事例では、ポーカーフラットとトロムソ両地点でほぼ同時期にロック現象が起こっていたが、GW-KEの位相が180度ずれていた (AGU2014) 。そこで、潮汐波とGW-KEの半日周期成分の1日コンポジット解析をした結果、ポーカーフラットでは11~12月において半日潮汐が東風時、1, 2, 5~8月では東風から西風に変わる時、トロムソでは11~2月において半日潮汐が西風時、5~9月では東風時にGW-KEが最大となることがわかった。従って、2000年11~12月に観測された事例は平均的によく起こりうる現象であると考えられる。今後は、8、24時間周期及びそれ以外の成分について調べ、それぞれの地域で卓越する現象を特定し、その物理メカニズムを議論する予定である。