[M-IS27] 地震・火山等の地殻活動に伴う地圏・大気圏・電離圏電磁現象

[MIS27-07] 地震先行下部電離層擾乱と地震の発震機構との関係

*河野 友紀¹、龍田 健心¹、芳原 容英¹ (1.電気通信大学大学院情報理工学研究科)

キーワード：電離層擾乱, VLF/LF 送信局, 地震, CMT 解

大地-電離層間を導波管伝搬するVLF/LF帯送信電波の伝搬路付近にて下部電離層が擾乱されると送信電波の振幅・位相に顕著な変化が生じる。地震に先行する電離層擾乱の観測例は現在までに多々報告されているが、おのおのの地震に先行する擾乱は、比較的大きなマグニチュードかつ震源の浅い地震においても必ずしも観測される訳ではない。また、地震先行電離層擾乱の発生機構は未だ明らかではない。そこで本研究では、地震CMT解及び震源データを元に地震をタイプと発生場所で分類し、地震に先行する下部電離層擾乱の検出率を導出した。その結果、逆断層型地震に先行する電離層擾乱は、正断層型や横ずれ断層型地震に比べより顕著に発生することが判明した。また、陸上のみならず海底にて発生した地震に関しても逆断層型の地震に対 応する電離層擾乱の発生頻度が卓越している事が分かった。このことは地圏-電 離圏結合過程において、３つのタイプの地震のうち、比較的岩盤に大きな力が加わる逆断層型の地震が大きな役割を担っており、従来の研究に用いられてきた地震のエネルギーや深さのみならず、今回初めて注目した地震のタイプ・発生場所など、地震の発生に係るより詳細な情報が擾乱発生機構を解明に重要である事を示唆している。