15:45 〜 15:48
[SSS30-P12] 2011年10月に発生した黒部湖周辺の地震活動の特徴
ポスター講演3分口頭発表枠
キーワード:地震活動, 静的クーロン応力変化, 動的応力変化, 間隙水圧, S波異方性, 飛騨山脈
2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震直後より飛騨山脈の大部分で地震活動が活発化し,一ヶ月以上継続した.しかし同年10月に富山県東部に位置する黒部湖周辺で三月の活動以上に活発な地震活動が観測された.この活発化の範囲は限定的で,その他の地域では見られなかった.また,地震活動が活発化した地域では活断層は特に認められておらず,マグニチュード5以上の地震が発生したのは1960年代に行われたダム湖への貯水に伴う地震活動以来約50年ぶりである.
そこで本研究ではまず地震活動が発生した断層の特定のために,2011年3月から11月の間に黒部湖周辺で発生したマグニチュード1.5以上の地震222個に対して震源の再決定と発震機構解の推定を行った.震源再決定後,分布の概形はそのまま東-東北東方向に約1.5km移動した.震源の深さは,分布中央付近から緯度が高くなるにつれて浅くなるような分布(分布A)と,M3.9以上の地震を含む緯度に関係なく深さ1.5-2km程度に定まった分布(分布B)の2種類の分布がみられた.発震機構解の結果から分布Aでは走向が160-175°,分布Bでは走向が180-195°を示し,地震活動はこれら2つの断層で発生したと考えられる.また2011年10月に地震活動が活発化した原因の解明のためにクーロンの破壊応力変化を求めたところ,10月3日M3.9の地震により5日M5.4の地震が,M5.4の地震により7分後のM5.2の地震がそれぞれ誘発されやすい環境にあることが示唆された.またその後の地震活動はM5.4とM5.2よる余震活動であることで説明できる.しかし10月3日M3.9の地震発生原因については,10月以前に発生した地震によるクーロンの破壊応力変化だけでは説明できないことから,動的応力変化及び間隙水圧の上昇の有無について検証を行った.本発表では上記の解析と検証について報告し, 地震活動が黒部湖付近で活発化した因果関係の有無について議論する.
そこで本研究ではまず地震活動が発生した断層の特定のために,2011年3月から11月の間に黒部湖周辺で発生したマグニチュード1.5以上の地震222個に対して震源の再決定と発震機構解の推定を行った.震源再決定後,分布の概形はそのまま東-東北東方向に約1.5km移動した.震源の深さは,分布中央付近から緯度が高くなるにつれて浅くなるような分布(分布A)と,M3.9以上の地震を含む緯度に関係なく深さ1.5-2km程度に定まった分布(分布B)の2種類の分布がみられた.発震機構解の結果から分布Aでは走向が160-175°,分布Bでは走向が180-195°を示し,地震活動はこれら2つの断層で発生したと考えられる.また2011年10月に地震活動が活発化した原因の解明のためにクーロンの破壊応力変化を求めたところ,10月3日M3.9の地震により5日M5.4の地震が,M5.4の地震により7分後のM5.2の地震がそれぞれ誘発されやすい環境にあることが示唆された.またその後の地震活動はM5.4とM5.2よる余震活動であることで説明できる.しかし10月3日M3.9の地震発生原因については,10月以前に発生した地震によるクーロンの破壊応力変化だけでは説明できないことから,動的応力変化及び間隙水圧の上昇の有無について検証を行った.本発表では上記の解析と検証について報告し, 地震活動が黒部湖付近で活発化した因果関係の有無について議論する.