日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-PS 惑星科学

[P-PS23] 月の科学と探査

2015年5月25日(月) 16:15 〜 18:00 A02 (アパホテル&リゾート 東京ベイ幕張)

コンビーナ:*長岡 央(早稲田大学先進理工学部)、諸田 智克(名古屋大学大学院環境学研究科)、Masaki N Nishino(Solar-Terrestrial Environment Laboratory, Nagoya University)、本田 親寿(会津大学)、長 勇一郎(立教大学理学部)、座長:晴山 慎(聖マリアンナ医科大学生理学教室(物理学分野))、山田 竜平(国立天文台 RISE月惑星探査検討室)

17:39 〜 17:42

[PPS23-P04] トリウム分布データおよび地殻厚データを用いた月の高地地殻形成過程についての考察

ポスター講演3分口頭発表枠

*山本 圭香1春山 純一1小林 進悟2大竹 真紀子1岩田 隆浩1石原 吉明1 (1.宇宙航空研究開発機構、2.放射線医学総合研究所)

キーワード:トリウム分布, 月地殻厚, SELENE, GRAIL, 月地殻形成

月の地殻の構造とその形成過程についての理解は、月の初期の熱進化を解明する上で重要である。本研究では、地殻の形成過程についての手がかりを得るために、月の高地において、Kobayashi et al. (2012) によるSELENEのガンマ線スペクトロメータから得られた月のトリウム分布と、LROおよびGRAIL衛星から得られた月の地殻厚マップとの相関を調査した。Kobayashi et al. (2012) において既に示されているように、両者は基本的に良い逆相関を示す。しかしながら、詳細はいくらか異なっており、トリウム分布がいくつかの極小点を持ち、それぞれの大きさの差はそれほど顕著でないのに対し、地殻厚の極大点は大きさの差が顕著であり、球面調和関数の22項に相当する部分が月の高地で卓越している。この差を説明するために、われわれは以下のような二段階の地殻形成のシナリオを考えた。すなわち、1) 月の表面において初期に生じた複数の核を中心とした水平方向の成長による薄い地殻の層の形成、2)月の地殻厚の二分性に関わるその後の下方への大規模な成長、である。トリウムの分布として捉えることのできるのは1)の部分のみであり、われわれは、これが地殻厚との空間パターンの違いを表しているのではないかと考えた。発表では、この説と、過去のいくつかの地殻形成の仮説の整合性について議論をおこなう。