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[SSS28-P18] 筒賀断層帯およびその周辺地域の活断層の分布と断層変位地形:中国地方西部の活断層密集地域に発達する長大活断層の一例
キーワード:筒賀断層, 活断層, 中国地方, 内陸地震, 空中写真
中国地方西部(山口県,広島県西部,島根県西部)には北東-南西走向の地質断層が多数分布するが,確実な活断層の分布は希薄な地域と従来考えられてきた(活断層研究会編,1991など).近年,大縮尺の空中写真判読により,地質断層が再活動したと考えられる活断層が新たに多数発見されてきている(中田・今泉編,2002;高田ほか,2003;後藤・中田,2008;山内・白石,2010;2012など).筆者らは,平成22年度より,主として70年代国土地理院撮影1/1万カラー写真を用いて中国地方全域の活断層写真判読作業を行っている.その結果,既報に示された活断層以外にもさらに多数の活断層が認定され,中国地方西部は日本国内でも有数の活断層が密に分布する地域であることが分かってきた.その結果の一部(菊川断層帯,弥栄断層帯,大原湖断層帯)については既に報告しているが(田力ほか,2011;2012;2013),本発表では広島県西部から山口県東部にかけて分布する長大活断層帯である筒賀断層帯(中田・今泉編,2002)およびその南北延長部の活断層の分布と断層変位地形の特徴について報告する.
筒賀断層帯およびその南北延長部は,広島県北広島市から山口県周南市にかけて,北東-南西走向におよそ100 kmにわたって延びる長大な活断層帯である。これらの活断層は標高1000 m程度の冠山山地内に発達し,明瞭な地形境界をなしてはいない。筒賀断層帯の変位速度は求められていないが,変位地形の特徴から,B-C級の右横ずれ断層とされている(中田・今泉編,2002).筒賀断層帯の南方延長部には,冠山断層・宇佐郷断層・須金断層(山内・白石,2010;2012),栄谷断層(後藤・中田,2008)の各断層が既存文献により記載されており,これらも筒賀断層帯と同様,右横ずれ断層とされている.
今回の調査により,筒賀断層帯の北方延長部に,筒賀断層帯とほぼ同様の走向を持つ延長約25 kmの活断層が新たにマッピングされた.本研究では、これを志路原断層と仮称する.志路原断層沿いには,系統的な河谷の右屈曲,分離丘,山地斜面の逆向き低断層等の断層変位地形が認められ,確実な活断層として認定できる.筒賀断層帯以南については,今回マッピングされた活断層トレースの分布形状は,大局的に見ると既報と大きくは変わらないが,これまで詳細な記載がされていなかった断層変位地形(河谷の右屈曲,分離丘,切断尾根,截頭谷,山地斜面の逆向き低断層,閉塞凹地など)が新たに認定されたことにより,これまで推定活断層,あるいは活断層の疑いのあるリニアメントとされていた,冠山断層・宇佐郷断層・須金断層の各断層のほぼ全域が確実な活断層であることが確認された.筒賀断層帯およびその周辺部の活断層の主な変位地形は河谷の系統的な右屈曲であり,上下変位の向きは地点によって異なっていることから,本断層帯は右横ずれ変位を主体とする活断層と考えられる.河谷の屈曲量はほとんどが数10 m程度,最大数100 m程度であり,断層帯を横切る太田川・錦川など比較的大規模な河川の屈曲は明瞭ではない.この特徴は,隣接する大原湖断層や弥栄断層と類似しており,これらの断層と同様,筒賀断層帯の総変位量が最大数100 m程度であり,変位速度が非常に小さいか,活動開始時期が比較的近い過去であることを示唆している.
今回マッピングされた活断層トレースは、志路原断層から栄谷断層にかけて,約100 kmにわたって顕著な切れ目無く連続的に分布するが,このような長大な活断層の全てが同時に活動することは考えにくい.宇佐郷断層の北端部付近が北西方向に分岐するようなトレースの分布を示し,相対する冠山断層が西南方向に分岐するような分布形態を示すこと,冠山断層以北の断層と宇佐郷断層以南の断層の走向がやや異なっていることから,冠山断層と宇佐郷断層の境界部にセグメント境界が存在すると推定される.志路原断層-筒賀断層-冠山断層の総延長が約60 km,宇佐郷断層-須金断層-栄谷断層野の総延長が約44 kmであることから,それぞれM7.8,M7.6の地震を発生させる可能性が考えられる.また,明確ではないが,断層の分岐は筒賀断層の北端部付近にも認められることから,志路原断層と筒賀断層-冠山断層は別の活動セグメントをなす可能性も指摘できる.志路原断層が約25 km,筒賀断層-冠山断層が約34 kmであることから,それぞれの断層はM7.2,M7.4の地震を発生させる可能性が考えられる.中国地方西部には,本断層帯と類似した長大活断層が多く分布しているが,それらの活断層はより短い活動セグメントに分割できる可能性があり,セグメント境界認定のためには,詳細な活断層の位置形状のマッピングが有効である.
筒賀断層帯およびその南北延長部は,広島県北広島市から山口県周南市にかけて,北東-南西走向におよそ100 kmにわたって延びる長大な活断層帯である。これらの活断層は標高1000 m程度の冠山山地内に発達し,明瞭な地形境界をなしてはいない。筒賀断層帯の変位速度は求められていないが,変位地形の特徴から,B-C級の右横ずれ断層とされている(中田・今泉編,2002).筒賀断層帯の南方延長部には,冠山断層・宇佐郷断層・須金断層(山内・白石,2010;2012),栄谷断層(後藤・中田,2008)の各断層が既存文献により記載されており,これらも筒賀断層帯と同様,右横ずれ断層とされている.
今回の調査により,筒賀断層帯の北方延長部に,筒賀断層帯とほぼ同様の走向を持つ延長約25 kmの活断層が新たにマッピングされた.本研究では、これを志路原断層と仮称する.志路原断層沿いには,系統的な河谷の右屈曲,分離丘,山地斜面の逆向き低断層等の断層変位地形が認められ,確実な活断層として認定できる.筒賀断層帯以南については,今回マッピングされた活断層トレースの分布形状は,大局的に見ると既報と大きくは変わらないが,これまで詳細な記載がされていなかった断層変位地形(河谷の右屈曲,分離丘,切断尾根,截頭谷,山地斜面の逆向き低断層,閉塞凹地など)が新たに認定されたことにより,これまで推定活断層,あるいは活断層の疑いのあるリニアメントとされていた,冠山断層・宇佐郷断層・須金断層の各断層のほぼ全域が確実な活断層であることが確認された.筒賀断層帯およびその周辺部の活断層の主な変位地形は河谷の系統的な右屈曲であり,上下変位の向きは地点によって異なっていることから,本断層帯は右横ずれ変位を主体とする活断層と考えられる.河谷の屈曲量はほとんどが数10 m程度,最大数100 m程度であり,断層帯を横切る太田川・錦川など比較的大規模な河川の屈曲は明瞭ではない.この特徴は,隣接する大原湖断層や弥栄断層と類似しており,これらの断層と同様,筒賀断層帯の総変位量が最大数100 m程度であり,変位速度が非常に小さいか,活動開始時期が比較的近い過去であることを示唆している.
今回マッピングされた活断層トレースは、志路原断層から栄谷断層にかけて,約100 kmにわたって顕著な切れ目無く連続的に分布するが,このような長大な活断層の全てが同時に活動することは考えにくい.宇佐郷断層の北端部付近が北西方向に分岐するようなトレースの分布を示し,相対する冠山断層が西南方向に分岐するような分布形態を示すこと,冠山断層以北の断層と宇佐郷断層以南の断層の走向がやや異なっていることから,冠山断層と宇佐郷断層の境界部にセグメント境界が存在すると推定される.志路原断層-筒賀断層-冠山断層の総延長が約60 km,宇佐郷断層-須金断層-栄谷断層野の総延長が約44 kmであることから,それぞれM7.8,M7.6の地震を発生させる可能性が考えられる.また,明確ではないが,断層の分岐は筒賀断層の北端部付近にも認められることから,志路原断層と筒賀断層-冠山断層は別の活動セグメントをなす可能性も指摘できる.志路原断層が約25 km,筒賀断層-冠山断層が約34 kmであることから,それぞれの断層はM7.2,M7.4の地震を発生させる可能性が考えられる.中国地方西部には,本断層帯と類似した長大活断層が多く分布しているが,それらの活断層はより短い活動セグメントに分割できる可能性があり,セグメント境界認定のためには,詳細な活断層の位置形状のマッピングが有効である.