日本地球惑星科学連合2015年大会

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ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-TT 計測技術・研究手法

[H-TT31] 環境トレーサビリティー手法の新展開

2015年5月27日(水) 18:15 〜 19:30 コンベンションホール (2F)

コンビーナ:*中野 孝教(大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 総合地球環境学研究所)、陀安 一郎(京都大学生態学研究センター)

18:15 〜 19:30

[HTT31-P04] 同位体比測定を用いた森林小集水域における硫黄動態の推定

*齋藤 辰善1山下 尚之1猪股 弥生1内山 重輝2中田 誠3大泉 毅1佐瀨 裕之1 (1.アジア大気汚染研究センター、2.新潟県環境衛生研究所、3.新潟大学農学部)

キーワード:硫黄同位体比, 降水, 渓流水, 土壌水

本研究では、森林生態系における大気沈着由来の硫黄の動態、例えば土壌や植物を介した循環過程、その時間スケールを明らかにすることを目的とし、硫黄同位体比の変動について調査を行った。
 新潟県新発田市内の40年生スギ人工林に3.84haの小集水域を設定し、2012年8月より調査を行った。対象は林外雨、林内雨、樹幹流、渓流水及び土壌溶液とし、硫黄同位体比(34S/32S)のほか、pH、電気伝導率、主要イオン濃度、雨量及び流量の測定を行った。硫黄同位体比はサーモフィッシャー社製質量分析計(NCS2500, Conflo II, Delta-Plus)を用いて測定し、標準物質としてCanyon Diablo Troiliteを用いて算出したδ34S(‰)として示す。
 図に2012年8月から2013年8月までのδ34Sの年間変動を示す。林外雨では季節風の影響による海塩寄与率の上昇とともに、夏季から冬季にかけてδ34Sが上昇するという明確な季節変動が確認できる。一方、渓流水では年間を通して9‰前後で安定していた。このことから、林外雨のδ34Sにみられる年間変動は、樹木吸収あるいは土壌保持などの過程を経て、9‰付近までならされたのち、渓流へ到達しているものと考えられる。また、土壌溶液のδ34Sは、斜面中腹深度20cmの時点で、ほぼ渓流水に近い値となっている。斜面上部からの側方流の寄与を考慮する必要があるが、δ34Sの変動の大部分は土壌表面への沈着直後に生じている可能性が高いと考えられる。
 本研究はアジア太平洋地球変動研究ネットワーク(Asia Pacific Network on Global change Research, APN: ARCP2013-13CMY-Sase)の支援により実施した。また、調査地の設定・利用に関し、新潟県林業振興課、県行造林地管理者の船山鋼平氏、船山武雄氏のご協力をいただいた。ここに感謝いたします。