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★ [MGI37-10] 第三世代「ひまわり」衛星観測データによる太陽放射の準リアルタイム解析と太陽熱利用および太陽光発電出力のモニタリング
キーワード:ひまわり8号, 放射収支, 準リアルタイム解析, 日射量, 太陽光発電, 太陽熱利用
地球は太陽放射を受けて温まる一方で、その温度に伴う地球放射(赤外放射)によってエネルギーを宇宙に放射している。これら加熱と冷却の効果によって我々の住む地球は現在の環境に保たれている。雲は太陽放射を反射し地球を冷却する効果と、地球放射を吸収、再放射することで地球を保温する効果を併せ持つが、雲の発生・発達は蒸発散や降水など地球大気系の水循環をはじめとする他要素との複雑なフィードバック結合によって関係づけられるため、雲の気候に対する効果の定量的な評価は未だ難しいものとなっている。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)においても雲の効果は一次の冷却効果のみの評価となっており、二次的なフィードバック効果の評価は見送られている。これは雲による気候フィードバック効果の評価が非常に難しいものであることを示している。日射量に対する最大不確定要素は雲である。雲の光学的特性は短い時間で大きく変化するため、その変化を正確に捉えることが地表面における放射収支を明らかにする第一歩となる。本研究では静止気象衛星「ひまわり」観測データに基づき太陽放射収支を議論する。気象衛星「ひまわり」は東アジア地域及び西オセアニア地域を観測する日本の静止衛星である。2014年10月7日に打ち上げられた8号機は7号から大幅に観測性能が向上している。これまで搭載されていた放射計は可視と赤外をあわせて5チャンネルのみであったが、今回打ち上げられた8号は合計16チャンネルとより多くの情報を得られるようになった。また、観測頻度は従来フルディスク1時間間隔、北半球30分間隔となっていたが、8号はフルディスク10分間隔、ラピッドスキャンによる日本領域の観測は2.5分間隔と時間分解能が飛躍的に向上している。本研究ではひまわり8号の観測データを最大活用し10分および2.5分毎の日射量準リアルタイム解析システム構築を目指す。さらに衛星観測データに基づく日射量の推定を応用することで準リアルタイムで再生可能エネルギーのモニタリングを可能とする。本発表では日射量準リアルタイム解析の第三世代ひまわりへの適用により、どのような新しい可能性が生まれるのかについて議論する。