日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-GI 地球科学一般・情報地球科学

[M-GI37] 情報地球惑星科学と大量データ処理

2015年5月28日(木) 09:00 〜 10:45 203 (2F)

コンビーナ:*豊田 英司(気象庁予報部数値予報課)、若林 真由美(基礎地盤コンサルタンツ株式会社)、野々垣 進(独立行政法人 産業技術総合研究所 地質情報研究部門 情報地質研究グループ)、豊田 英司(気象庁予報部数値予報課)、村田 健史(情報通信研究機構)、寺薗 淳也(会津大学)、堀 智昭(名古屋大学太陽地球環境研究所 ジオスペース研究センター)、大竹 和生(気象庁気象大学校)、堀之内 武(北海道大学地球環境科学研究院)、座長:堀 智昭(名古屋大学太陽地球環境研究所)、村田 健史(情報通信研究機構)

09:00 〜 09:15

[MGI37-10] 第三世代「ひまわり」衛星観測データによる太陽放射の準リアルタイム解析と太陽熱利用および太陽光発電出力のモニタリング

*竹中 栄晶1中島 映至1中島 孝2井上 豊志郎1本多 嘉明3樋口 篤志3高村 民雄3奥山 新4別所 康太郎4 (1.東京大学大気海洋研究所、2.東海大学情報技術センター、3.千葉大学環境リモートセンシング研究センター、4.気象庁気象衛星センター)

キーワード:ひまわり8号, 放射収支, 準リアルタイム解析, 日射量, 太陽光発電, 太陽熱利用

地球は太陽放射を受けて温まる一方で、その温度に伴う地球放射(赤外放射)によってエネルギーを宇宙に放射している。これら加熱と冷却の効果によって我々の住む地球は現在の環境に保たれている。雲は太陽放射を反射し地球を冷却する効果と、地球放射を吸収、再放射することで地球を保温する効果を併せ持つが、雲の発生・発達は蒸発散や降水など地球大気系の水循環をはじめとする他要素との複雑なフィードバック結合によって関係づけられるため、雲の気候に対する効果の定量的な評価は未だ難しいものとなっている。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)においても雲の効果は一次の冷却効果のみの評価となっており、二次的なフィードバック効果の評価は見送られている。これは雲による気候フィードバック効果の評価が非常に難しいものであることを示している。日射量に対する最大不確定要素は雲である。雲の光学的特性は短い時間で大きく変化するため、その変化を正確に捉えることが地表面における放射収支を明らかにする第一歩となる。本研究では静止気象衛星「ひまわり」観測データに基づき太陽放射収支を議論する。気象衛星「ひまわり」は東アジア地域及び西オセアニア地域を観測する日本の静止衛星である。2014年10月7日に打ち上げられた8号機は7号から大幅に観測性能が向上している。これまで搭載されていた放射計は可視と赤外をあわせて5チャンネルのみであったが、今回打ち上げられた8号は合計16チャンネルとより多くの情報を得られるようになった。また、観測頻度は従来フルディスク1時間間隔、北半球30分間隔となっていたが、8号はフルディスク10分間隔、ラピッドスキャンによる日本領域の観測は2.5分間隔と時間分解能が飛躍的に向上している。本研究ではひまわり8号の観測データを最大活用し10分および2.5分毎の日射量準リアルタイム解析システム構築を目指す。さらに衛星観測データに基づく日射量の推定を応用することで準リアルタイムで再生可能エネルギーのモニタリングを可能とする。本発表では日射量準リアルタイム解析の第三世代ひまわりへの適用により、どのような新しい可能性が生まれるのかについて議論する。