日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気水圏科学複合領域・一般

[A-CG31] 北極域の科学

2015年5月26日(火) 18:15 〜 19:30 コンベンションホール (2F)

コンビーナ:*竹内 望(千葉大学)、檜山 哲哉(名古屋大学地球水循環研究センター)、平譯 享(北海道大学大学院水産科学研究院)、田中 博(筑波大学計算科学研究センター)、野澤 悟徳(名古屋大学太陽地球環境研究所)

18:15 〜 19:30

[ACG31-P09] 北極域に設置した中間圏界面ナトリウムライダーの性能の向上

*川原 琢也1野澤 悟徳2 (1.信州大学工学部、2.名古屋大学STE研究所)

本発表では、北極域上部熱圏・下部熱圏(高度80-110 km)領域の観測のために2010年10月からEISCATトロムソ(69.6N, 19.2E)サイトで稼働しているナトリウムライダーの更なるシステム改良に関して述べる。このライダーは、(1)全個体素子Nd:YAGレーザで構成された589nm光出力システムが極めて安定で、観測シーズン(約半年間)にレーザの光学調整が一切いらない、(2)従来型のレーザよりも高出力なためレーザを分岐して多点観測が可能、(3)レーザの絶対波長自動校正、校正エラーの自動検出と自動復旧システム、など従来型の共鳴散乱ライダーの性能を遥かに超える。このライダーのパフォーマンスをさらに向上させるために、(1)昼間観測化、(2)レーダの観測方向に合わせた任意方向観測手法開発、(3)時間分解能の短縮、に関して準備を進めている。昼間観測用の狭帯域フィルタに関しては、圧力容器に納めたエアギャップ型エタロンを用い、1-8気圧の大気圧調整により光路長の微調整を行い最適な条件を得るシミュレーション結果を示す。任意方向観測のためには、レーザ送信用の射出システムとPCによる方向制御可能な望遠鏡の同一方向同期観測が必要であるが、この実施テストを行ってきており観測が可能である結果が出ている。この結果を示す。観測の時間分解能の短縮には、音響光学素子を用いたレーザ周波数シフターを再構成し、周波数の切り替えをレーザ射出ごとに行えるようにした。
 講演では、上記の進歩状況について報告する。