16:45 〜 17:00
[SMP43-10] 東南極リュツォ・ホルム岩体の超塩基性片麻岩中のコロナ形成に関与した流体活動
キーワード:コロナ, 編成流体, リュツォ・ホルム岩体
東南極リュツォ・ホルム岩体の超塩基性岩には,ザクロ石と角閃石の間にスピネル,斜方輝石,斜長石からなるコロナが普遍的に産する。この組織形成の反応を推定することによって,リュツォ・ホルム岩体が最高変成条件から減圧する時計廻りの履歴をもつことが明らかになっている。本研究では,ザクロ石の周囲に黒雲母と斜長石からなるコロナを発見し,その意義を検討した。
ザクロ石は凹凸に富み,一部融食した細粒粒子としてコロナ内部に孤立して産する。コロナを構成する黒雲母と斜長石は自形で,普遍的に産するスピネル,斜方輝石,斜長石のコロナがシンプレクタイトであることと対照的である。また,両鉱物はザクロ石からの距離によらず,ほぼ一定の化学組成の幅をもつ。特に黒雲母は対数正規に近似できる粒径分布を示す。また,コロナの全岩組成はザクロ石とマトリクスの斜長石にK2OとH2Oを加えた組成にほぼ一致する。
これらの特徴は,コロナ形成にK2Oを含むH2O流体の流入があったことを示唆する。マトリクスに角閃石が産するにも拘わらず,普遍的なシンプレクタイトが形成されていないことから,それ以前に流体が流入したと考えられる。コロナ構成鉱物の形態や粒径分布は,これらの鉱物が過飽和度の減少するメルトから晶出した可能性を示している。つまり,リュツォ・ホルム岩体では最高変成条件から有意に減圧する前に,局所的にK2Oを含むH2O流体が流入し,超塩基性片麻岩が部分融解した。その後粒径分布を改変しない程度の速度で冷却したと考えられる。
ザクロ石は凹凸に富み,一部融食した細粒粒子としてコロナ内部に孤立して産する。コロナを構成する黒雲母と斜長石は自形で,普遍的に産するスピネル,斜方輝石,斜長石のコロナがシンプレクタイトであることと対照的である。また,両鉱物はザクロ石からの距離によらず,ほぼ一定の化学組成の幅をもつ。特に黒雲母は対数正規に近似できる粒径分布を示す。また,コロナの全岩組成はザクロ石とマトリクスの斜長石にK2OとH2Oを加えた組成にほぼ一致する。
これらの特徴は,コロナ形成にK2Oを含むH2O流体の流入があったことを示唆する。マトリクスに角閃石が産するにも拘わらず,普遍的なシンプレクタイトが形成されていないことから,それ以前に流体が流入したと考えられる。コロナ構成鉱物の形態や粒径分布は,これらの鉱物が過飽和度の減少するメルトから晶出した可能性を示している。つまり,リュツォ・ホルム岩体では最高変成条件から有意に減圧する前に,局所的にK2Oを含むH2O流体が流入し,超塩基性片麻岩が部分融解した。その後粒径分布を改変しない程度の速度で冷却したと考えられる。