15:30 〜 15:45
[MIS34-15] 北海道東部,藻琴湖における過去350年間の堆積環境の変化
キーワード:海跡湖, 藻琴湖, ラミナ, 樽前-aテフラ, 駒ヶ岳2cテフラ, 貧酸素水塊
亜寒帯気候に属する北海道東部オホーツク海沿岸には,多くの汽水湖が分布する.特に網走市周辺では,サロマ湖,網走湖など様々な特徴を持った汽水湖が分布し,日本有数の汽水湖群を形成している.この汽水湖群の特徴は,いずれも冬季に湖表が結氷することであり,温帯域の汽水湖群と異なった環境システムを考える必要がある.藻琴湖は,網走市東部に位置する面積約1.1?,最大水深5.8mの小さな富栄養汽水湖である.流域面積は190km2と湖の面積と比べて大きく,流域では農業とともに牛や豚等の畜産業も盛んである.そのため,流域からの汚濁負荷が相対的に高く,富栄養化の原因となっている.特にリンは,畜産業に起因する負荷が高く,藻琴湖の特徴の一つになっている.また,流域からの土砂流出による湖底の埋積も問題になっている.本研究の目的は,藻琴湖から得られた柱状試料を解析することによって近過去の人為改変による湖沼環境の変遷を明らかにすることである.
藻琴湖の湖心付近の水深4.5mの地点で空気圧入式ピストンコアラーにより09Mk-2Cコアを採取した.09Mk-2Cコアは,コア長387cmで,主にラミナを伴う泥からなる.また,深度350cmにTa-aテフラ(AD1739年)が,深度387cmにKo-2c(AD1694年)が確認された.
リン濃度は深度2.0mの色調の境界の上位で比較的高い値(0.1wt%前後)を示し,それより下位では低い値(ほぼ0wt%)を示す.リン濃度の増加が畜産業の排水に起因するものならば,この境界付近から畜産業が発展したことになる.同様な結果は,09Mk-1Cコアでも得られている.それによると,この境界は,ラミナセットの枚数から1957年と推定される.記録によれば,藻琴湖流域では1955年から家畜の頭数が増加したとされており,藻琴湖のラミナセットの数による年代と今のところ矛盾していない.また,ラミナセットの厚さは,ラミナセットの数による年代の1960年代前半までは7mm前後であったが,1960年代後半から25mm前後と厚くなる.これは,1960年代後半から土砂の流出が顕著となり,堆積速度が早くなったことが示唆される.
藻琴湖の湖心付近の水深4.5mの地点で空気圧入式ピストンコアラーにより09Mk-2Cコアを採取した.09Mk-2Cコアは,コア長387cmで,主にラミナを伴う泥からなる.また,深度350cmにTa-aテフラ(AD1739年)が,深度387cmにKo-2c(AD1694年)が確認された.
リン濃度は深度2.0mの色調の境界の上位で比較的高い値(0.1wt%前後)を示し,それより下位では低い値(ほぼ0wt%)を示す.リン濃度の増加が畜産業の排水に起因するものならば,この境界付近から畜産業が発展したことになる.同様な結果は,09Mk-1Cコアでも得られている.それによると,この境界は,ラミナセットの枚数から1957年と推定される.記録によれば,藻琴湖流域では1955年から家畜の頭数が増加したとされており,藻琴湖のラミナセットの数による年代と今のところ矛盾していない.また,ラミナセットの厚さは,ラミナセットの数による年代の1960年代前半までは7mm前後であったが,1960年代後半から25mm前後と厚くなる.これは,1960年代後半から土砂の流出が顕著となり,堆積速度が早くなったことが示唆される.