日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

インターナショナルセッション(口頭発表)

セッション記号 B (地球生命科学) » B-PT 古生物学・古生態学

[B-PT03] Biocalcification and the Geochemistry of Proxies -Field ecology, Laboratory culture and Paleo

2015年5月26日(火) 11:00 〜 12:45 104 (1F)

コンビーナ:*豊福 高志(独立行政法人海洋研究開発機構)、北里 洋(独立行政法人海洋研究開発機構海洋・極限環境生物圏領域)、Jelle Bijma(アルフレッドウェゲナー極域海洋研究所)、座長:Jelle Bijma(アルフレッドウェゲナー極域海洋研究所)

11:54 〜 12:09

[BPT03-09] 底生有孔虫の石灰化過程におけるプロトン、炭素、カルシウム輸送の数理分析

*山本 美希1豊福 高志1阪口 秀1デ ヌーエヘル レナート2 (1.海洋研究開発機構、2.ユトレヒト大学)

キーワード:底生有孔虫, 石灰化, プロトン輸送, 数理分析

海洋性単細胞生物である有孔虫は、今日の海洋の炭酸カルシウムのおよそ50%を生成しており、海洋における炭素サイクルの重要な部分を担っている。しかしながらその石灰化過程がどのようなメカニズムで進行し、どのように環境を変えているのかは未だ理解されていない。
今回我々は、有孔虫の石灰化過程を理解するために行ったpH分析の結果を報告する。まずpHを可視化することにより、石灰化過程にともなって有孔虫のまわりのpHが急速に低下することが確かめられた。これは有孔虫が石灰化時にプロトンを能動的に外界に輸送していることを意味している。次に可視化したpH分布からプロトンの流束を見積もり、その流束と釣り合うような内部へのカルシウム輸送を仮定して、そのカルシウムの流入総量と新しいチャンバーを作るために必要な炭酸カルシウム量と比較した。これら結果を用いて、プロトンとカルシウムとの交換が石灰化過程に重要な役割を果たしていることを提唱する。