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[PPS21-17] 電場加熱による磁気乱流の抑制が引き起こす重力不安定
キーワード:原始惑星系円盤, 磁気流体力学, 磁気回転不安定, 重力不安定, 降着円盤
原始惑星系円盤内の乱流は、その角運動量を外側へ輸送しガスを中心星へと降着させるため、円盤の進化を考える上で本質的に重要である。円盤で乱流を起こす機構の1つとして磁気回転不安定性(MRI)が考えられている(Balbus & Hawlley 1991)。中心星から十分遠い領域ではMRIは十分発達すると考えられているが、そこではMRI乱流に付随する電場が電子を加熱することが指摘されている(電子の電場加熱; Inutsuka & Sano, 2005)。電子の電場加熱が起こると、加熱電子がダストに衝突し吸着されやすくなるために、気相中の電離度が減少し、結果として磁場が散逸し得る(Okuzumi & Inutsuka, 2015)。MRIにおいて磁場の散逸は磁気乱流の抑制を意味する。我々はこれまでの研究において、電場加熱が原始惑星系円盤のどこでどの程度磁気乱流が抑制されるかを調べてきた。その結果、中心星からおよそ100AU以内の赤道面の領域で非常に磁気乱流が抑制されることを見積もった(惑星科学会2014年秋季講演)。
本研究の目的は、電場加熱領域を考慮した際に、円盤のどこの領域でガスが蓄積されるかを調べることである。円盤内で乱流が強い領域では、乱流によって円盤の角運動量を輸送しガスが中心星へと降着する。一方、乱流が強い領域では、角運動量輸送が非効率なため、円盤外側から流れてきたガスはその場所に蓄積される。そのため、広い領域で乱流が抑制されると、ガス面密度の大局的な構造を変化させる可能性が考えられる(Mori & Okuzumi, in prep.)。従来の研究では、降着したガスが円盤内側のMRIが起こらない領域(デッドゾーン)に蓄積し、重力不安定になる可能性が指摘されていた(Martin & Lubow, 2011)。我々の電場加熱を考慮することで、ガスはより広い領域にガスが蓄積されることが予想される。
我々は、定常降着を仮定して、電場加熱領域の各場所における面密度と質量降着率の関係を求めた。円盤モデルとしては、0.1umのダストをダストガス比0.01で含み、赤道面の磁気圧に対するガス圧を104倍とした。その結果、質量降着率10-7M⦿ /yrの時、70AU以内では定常降着を実現する面密度が存在しないことが分かった。従来のデッドゾーンの描像で15AU以内で定常解が存在しなかったことと比べると、我々の結果はガスの蓄積が非常に広い領域で起きることを示唆している。そのような場所では、ガスが蓄積し続けるために面密度が増加し、最終的には重力不安定になることが予想される。
本研究の目的は、電場加熱領域を考慮した際に、円盤のどこの領域でガスが蓄積されるかを調べることである。円盤内で乱流が強い領域では、乱流によって円盤の角運動量を輸送しガスが中心星へと降着する。一方、乱流が強い領域では、角運動量輸送が非効率なため、円盤外側から流れてきたガスはその場所に蓄積される。そのため、広い領域で乱流が抑制されると、ガス面密度の大局的な構造を変化させる可能性が考えられる(Mori & Okuzumi, in prep.)。従来の研究では、降着したガスが円盤内側のMRIが起こらない領域(デッドゾーン)に蓄積し、重力不安定になる可能性が指摘されていた(Martin & Lubow, 2011)。我々の電場加熱を考慮することで、ガスはより広い領域にガスが蓄積されることが予想される。
我々は、定常降着を仮定して、電場加熱領域の各場所における面密度と質量降着率の関係を求めた。円盤モデルとしては、0.1umのダストをダストガス比0.01で含み、赤道面の磁気圧に対するガス圧を104倍とした。その結果、質量降着率10-7M⦿ /yrの時、70AU以内では定常降着を実現する面密度が存在しないことが分かった。従来のデッドゾーンの描像で15AU以内で定常解が存在しなかったことと比べると、我々の結果はガスの蓄積が非常に広い領域で起きることを示唆している。そのような場所では、ガスが蓄積し続けるために面密度が増加し、最終的には重力不安定になることが予想される。