日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 U (ユニオン) » ユニオン

[U-05] Future Earth - 持続可能な地球へ向けた統合的研究

2015年5月25日(月) 16:15 〜 18:00 103 (1F)

コンビーナ:*氷見山 幸夫(北海道教育大学教育学部)、中島 映至(東京大学大気海洋研究所)、谷口 真人(総合地球環境学研究所)、大谷 栄治(東北大学大学院理学研究科地学専攻)、座長:谷口 真人(総合地球環境学研究所)

16:15 〜 16:35

[U05-15] 地球の未来を考える知の統合基盤、Digital Earthの構築にむけて

*福井 弘道1 (1.中部大学中部高等学術研究所国際GISセンター)

キーワード:デジタルアース, 知の統合, ESD, 集合知, GIS, Future Earth

人類は、自らの活動によって生存基盤である地球の環境を大きく変えつつある。地域から地球の環境保全や持続可能性を追求するには、学際研究や社会の多様なステークホルダーの連携・協働が不可欠である。
デジタルアースとは、サイバースペース上に構築される俯瞰型情報基盤、多次元・多解像度で表現された地球であり、持続可能な地球の将来を考えるために、環境・災害等の「問題複合体」を解題する共同実験室、コミュニケーションのプラットフォームとして利用されることが期待されている。すべての人やものがインターネットにつながる近未来においてデジタルアースは、地球規模で相互運用可能な情報共有DBであり、人間社会の活動とその基盤である環境とを巡る複雑な関係性についての集合知を統合し、日々成長することが可能な枠組みを持つ必要がある。それは、具体的に地球の将来を予測するモデルや、地球システムが持っている機能を分かり易く可視化して、これからの人間社会の行動モデルについて思い巡るといった、持続可能な教育的内容も包含しなければならない。そうすることでデジタルアースは、時空間をまたいで、地球規模の問題を地域の問題に結びつけて検討し、持続可能な地球の未来を創造することに貢献できる。
デジタルアースの現状と、その構築技術や利用の課題などについて、「ヒマラヤの山岳地域やモルディブの島嶼地域といった気候変動の最前線での適応策への取組み」などのケーススタディや「国際災害支援情報基地構想」、「OMEGAプロジェクト」をはじめ、取り組んでいる萌芽的なプロジェクトの紹介を通じて検討するとともに、今後の研究を展望する。デジタルアースの構築とその活用により、認識科学や設計科学そして市民科学の連携が強化され、知の再編・統合が進み、問題複合体の解題が実現することが期待される。